男の作法【読書/映画感想】20220314
原作は池波正太郎氏作の同題名文庫で男の作法を描くエッセイ。鮨屋の選び方、粋な頼み方、シャリやムラサキなどのプロ用語をやたらと使うもんではないよと諭してくれる「おじさん」に巡り合った元編集者の保険セールスレディが「先生と呼ばれるおじさん」に学んでいく。
- 鮨はカウンターでなくテーブルで1人前を頼んでもう少し食べたいけどやめておくのがよい、そうしてまたくればよいのだと。トロは仕入れが高いから普通の値段で出すと誰も食べない、だからスレスレで出している、店としては嬉しくない食べすぎないように。
- 仕事道具はいいものを使うべき、書類を書くのに景品のペンで書くなんてもってのほかだ。顧客にもそれは伝わるし、書類にも文字にも表れる。
- 人と話す時目を見ていないと失礼と教わるがずっと見られているのはそれはそれでまた苦しいものだ。
- 日本の引き戸はどこからでも出入りできるようになっているし、そばにものをおいてもじゃまになることはない、そして引き戸は開け閉めの2択ではなく、その開けと閉めの間に無限の調節しろがある、引き戸のような人だねぇと言われるバーのマスター。
自分なりのこだわりは、誰かに話すもんでもないが、なにかと人生観や生き様を表すものなのかもしれない。
私のこだわりで最も役に立たないもの一つ。
(ここから池波正太郎風)
コロナで夜の街に出ることもなくなったが、以前は「スナック」に行くときに自分なりの作法があった。それは「早い時間にいく」こと。そうすると空いている、みんな他のお客さんは居酒屋などで飲み終わってその日の最後にくるからだ。男たちは何か起こることを期待しているのかもしれない(笑)。まあ十中八九何も起こらない。さて、空いている店で店員さんもまだ少ない店で大声で騒がずに小さい声でも聞こえる話を少しして、せいぜい1時間、長くても2時間で帰るつもりでいるのがいいと思っている。もし、それより早く大勢の客が来たら、ささっと勘定して帰る。たとえば一人の客だったらもう少しいてもよい。いずれにしても長居は無用。
エレベータで送ってくれるのも「いいよいいよ」と断って手を振って帰るのがよい。
まあでも。歳を重ねたからそんな境地になってきたのだろう。若くしてこんな感じだったらそれはそれで変な人だと怪しまれかねないからな。