半蔵門御散歩雑談/ODR Pickups

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、台湾たまにロードレーサーの話題など、半蔵門やたまプラーザ付近を歩きながら雑談するように。

20年ぶりの円安水準で思い出すこと

20年ぶりの円安水準で思い出すこと【たまプラビジネス余談放談】20200506

 

続く円安は輸入企業を傷めつける

円安は2000年前後、イスラエル企業との取引で製品ライセンスを輸入する契約を進めていたころを想起させる。当時は確か最高でドル円レートが130円近くまで進んでいたと記憶している。その頃、ある製品ライセンスを年間20万ドル5年間で100万ドル程度購入する条件となっていて、契約時は120円を切っていた為替レートは130円まで円安が進み、当初の円換算仕入れ額2400万円だったのが2600万円となり年間で約200万の増加、販売政策上売値に反映しないと判断していたので5年合計で利益を1000万圧迫することとなり社内問題になったからだ。輸入企業にとって円安は大きなインパクトとなることを身を持って学んだのだった。円安、円高は輸出企業と輸入企業に正反対のダメージを与える。

 

4月中旬、20年ぶりの円安水準は対ドルレート126円まで進んだ。円安は、円が売られての結果だ。なぜ円が売られているのか。

金利政策差が円売り加速

一つは、日本は原油など重要なエネルギを始め海外から買わなければならない資源や食糧が多い。海外から買うためには外貨が必要となり、そのためには円を売ってドルやユーロを買う必要があるからだ。二つ目に、日本はもともと製造拠点を海外に移転してきていて、製品を輸入する構造になっている。一つ目と同様、外貨は必要でこの点でも外貨を買っておく傾向にある。そして三つ目、米国金利が上昇しているのに対して日本は金融緩和を継続している。マネー市場は金利が高いほうが有利なので米ドル買いに向かう。さらに日本政府は当面の円安を容認するとアナウンスしているのでますます円売りは進みこの方向が続きそうだ。ということでしばらく円売りが継続し、円安が進むことになる。

diamond.jp

円安と輸入企業、輸出企業への影響

円安の場合、輸入企業に不利に働く。前述のように輸入価格を上昇させるので、そのまま売り価格に転嫁すると消費者物価が上がり家計を直撃する。当社がそうだったように小売価格に転嫁しない場合もある。すると利益を圧迫することになり長期的には輸入企業の賃金にまで影響する可能性がある。するとその社員の購買力は低下することになり、いずれの場合も小売市場にも影響を及ぼしてしまう。

輸出企業には、収益増をもたらし稼ぐ力を強くする。社員にとっては賃金上昇につながるので国内の輸出企業が多ければ経済にとってもプラスの効果となる。

 

円高と輸入企業、輸出企業への影響

反対に円高が進むと輸入企業に有利に働く。1万ドルの仕入れの場合、1ドル130円の円安では日本円だと130万円、円高で120円になれば120万円の仕入れで済む。売値に反映させなければ利益が増える。売値に反映させると値下げとなり購入しやすくなるため売り個数増加で売上が増える。輸出企業にとっては、円換算の収益が減少するので最終的に賃金に影響し始めると消費購買力が落ちて小売での購買力が落ちることと、価格が下がるとデフレにもつながっていく。

 

円相場と株

円安は売られた円の資金が株に向かい株高につながり、円高は株資金が円買いに向かって株安につながっていくと言われる。

 

かように金融市場は相互に有機的ともいえるほどに連動して動く。実際は、人間がそのように反応する。最近ではAIが反応するのかも。これすらも確約はされないが、さらに金融不安定感は、金に向かう。事実、4月中旬の金相場は9000円まで上昇していた。

nordot.app

戦争不安

そしてウクライナでの戦争だ。資源国ロシアは、その売り物であるエネルギーを盾に、欧州へのルーブル支払いなどを求める。その他の資源の流通も停滞する可能性が高く、資源国買いが進む。米国やオーストラリアなどは買い対象になり、その分、日本は売り対象となる傾向か。

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その後、4月29日には131円まで円安が進んだ。20年前の円安で自分の担当する仕事への為替の影響を知るまでは「のほほん」としていたのだが、そこからシビアに観察するようになって今に至る。結局必要にならないと学べないのは今も同じかな。