半蔵門御散歩雑談/ODR Pickups

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、台湾たまにロードレーサーの話題など、半蔵門やたまプラーザ付近を歩きながら雑談するように。

このハードルやはり手強い

このハードルやはり手強い【たまプラビジネス余談放談】20220627

 

人工知能(AI)を使って契約書の内容をチェックするサービスについて、政府のグレーゾーン解消制度に適法性が照会されていたが、6月6日に「違法と評価される可能性がある」との回答が出た。

抵触するとされているのは弁護士法72条「非弁行為の禁止」の条項だ。「弁護士資格を持たない人が弁護士が行う行為や斡旋を有償で行ってはいけない」というもの。

 

弁護士法第72条 - Wikibooks

 

グレーゾーン(かどうかを判別するための)制度に「グレー」だと判断された

 

これから行おうとしているサービスが、法的にグレーなので、グレーゾーン解消のための制度、つまり白黒ハッキリさせる制度、に問い合わせたら「グレーだ」と判断された」というちょっとアレな回答でもある。弁護士法違反とは明確には言わないけれど、グレーなので刺されるかもよ?という最もやりにくい回答で、(「真摯な事業者が多い。実際に摘発される可能性はほとんど考えられない」記事中より)とはいえど、弁護士法人や弁護士でない企業が行うことを躊躇するしかないことには変わりないということだ。

現在でもAIによる契約書の診断やアドバイスサービスをおこなっている法人はあるものの、これらは弁護士が代表を勤める企業でもある。問い合わせたのは公開されてはいないが中小企業(おそらく弁護士法人ではない)ということなので、彼らにとっては時間の無駄だったよといいたくなりそう。

 

構造

 

現在行われているサービスは、弁護士がおこなっているので、AIプログラムは単なるツールで最終的には弁護士の見解が反映されているから違反ではないとされているのだろう。それはわかる。ではAIによる契約書審査がいけないのは(グレーなのは)なぜか。

AIはプログラムだ。AIが高度な判断をするがその高度な判断を導き出すのは人間が組んだプログラム。ビッグデータから学習したとはいっても、学習するプログラムは人間が組んでいる。ロジックはプログラマにより組み込まれる。弁護士が自分自身でプログラムを組み込む場合、あるいは、プログラマが弁護士資格を持っている場合はよいだろう。

弁護士が自分のノウハウを言語化してプログラマに仕様を伝えてプログラムした場合でも、

(1)そのプログラムが弁護士の意図通りになっているかどうか。

(2)プログラマが弁護士の仕様を正確に理解把握しているか。

(3)理解把握した内容が的確にプログラミングされているか。

これら(1)(2)(3)ができているかどうかでAIが弁護士に匹敵する結果を出せるかが担保されなければ弁護士法が禁止する目的は達成できない。これらの鑑定判定が弁護士にできれば問題はないができるのだろうか。結局、プログラムが理解できる弁護士でないといけないのではないか。

 

この鑑定?というか判別?のノウハウもまだない。判定の手順や手法、その結果も不明確になりそうだ。

 

www.nikkei.com

他の仕事と同じように弁護士でも品質が担保され代行できる仕事は機械化して人間はクリエイティブな業務を行うように進化すべきなのは確かだ。リーガルテックを妨げないよう、法改正や手法の改定を進めなければならないことに変わりはない。

f:id:emandai34:20180923091536j:plain