ZOKU 森博嗣【読書/映画感想】20220927
2004年の森博嗣 ノベルズ
ZOKUは「族」、最初は「暴音族」が密かに仕掛けた僅かなノイズ。それが少しだけ誰かに被害をもたらすが法律上は問題なくちょっとの話題で終わる。次は「暴振族」、同じような微妙な振動でちょっとした迷惑行為。そして「暴笑族」は、映画や演劇などのいい場面で爆笑がどこからともなく入り、「暴色族」では買ってきた色が全然違う色で幼稚園のお絵かきが紫一色になる。そんなZOKUとそれを防ぎ暴くTAI(科学技術禁欲研究所)の静かなる戦い。
”犯罪にはならないギリギリの迷惑行為”という活動に存在意義を見出す悪の組織ZOKU。体にピッタリの黒い衣装とマントに身を包む美女が犯人?一方ZOKUの被害を抑え正体を暴こうとするTAIの野乃、二人の美女がコミカルに戦うのが最大の見せ場だが、なにせ犯罪ではなくてその影響もしょぼいので盛り上がらない悪の組織との戦い。なんとか最後まで読み切ったのはさすがの森博嗣准教授の作品だからか。
9.11の米国同時多発テロから21年。今年も現地では悲惨な記憶を胸に抱えながらなんとか日常を送る人々だが、あれ以来、ちょっとした変化にもテロ?と疑うことが多くなったと思う。夜中に点いたままのTV。。実は消し忘れ、なかなか来ない郵便物。。実は郵便配達員がコロナで人手不足、電車の遅延。。。実は単なる混雑・・
なにより2020年初頭のコロナは絶対某国によるテロだと思ったし。
そうだ。
9.11以来、飛行機の手荷物検査にペットボトルは持ち込めなくなった。形の微妙なUSBメモリも没収対象になったりする。
1996年に初めてイスラエルに行ったとき、セキュリティチェックは入念なものだった。特に出国時は1人に対して2名が別々に荷物検査とともにヒアリングをして矛盾点や危険性がないかをチェックしていたが、これこそはテロ防止のセキュリティチェックだと思ったものだ。技術も進歩して荷物内の不審物はX線検査でかなり検出できるようになっている。だから世界中でテロ防止検査を行わなければならなくなった今でもなんとか短時間で済むようになった。
米国で空港の火薬粉末を検査する装置に入ることになったことはあるだろうか。
無作為だといいつつ、そちらに回されるのはイスラム系の人が多かったように記憶する。
少しの異変にも注意するようになったのを”平和でない”と嘆くだけでなく、”そんなひどいことをするなんてありえない”などとNaiveなことをいう世界は確実に過ぎ去ったことを改めて意識している。