武漢コンフィデンシャル 手嶋龍一【読書/映画感想】20221117
いつもながらよくできている。武漢から発生した新型コロナウィルスとその後今までにも至る地球規模のパンデミックの”もしかすると”そうなのかもしれないバックグラウンド、陰謀、歴史、ウィルス研究、お金の流れetc.. どれも筆者ならではの”情報元(ネタモト)”のある文章からなるストーリー、実話?は最後まであっという間に読ませられてしまう。
SasSの発生もコウモリ宿主のウィルスだったのは今回の武漢コロナの最初の病原の報道が武漢の市場で売られているコウモリを食べた女性からだったという話とも結びつく。あるいは、その情報があったからそのような推測だったのか?
武漢から発生したという初期報道に対して、中国からは”ウィルスはアメリカから持ち込まれた”という反論があったが、実は、オバマ大統領がウィルスの研究をストップするように指示した「オバマモラトリアム」というのがあり、この時に研究を続ける策として、武漢の研究所への米国が資金提供をしたという話は本当なのか。また、それがあったとすれば、米中は協力関係であると同時に、中国で強力なウィルスの開発が行われていたことにも通じるし、武漢の研究所はバイオセキュリティレベルが高くなかったということからは、ウィルスが漏れてしまうリスクもあったということも真実なのかと疑いたくなる。ウィルスが漏れれば中国は国家的な危機、国内政治的には習近平失脚にもつながりかねない。避けるためには、「他所から持ち込まれた」噂の流布もあり得る話。
小説なので、アヘン戦争からつながるインテリ美女の話はエンタメ味付けだが、これもありそうななさそうな。
新たな、オカシナ陰謀論にならないようにネタバレはなし。
現在メルカリに出しているが、読みたい人がいれば譲ります。