ODRのゲスト授業@慶應法科大学院2022【たまプラビジネス余談放談】20221125
昨日は、今年で15回目となる慶應LSのODRについてのゲスト授業。民事訴訟法の三木教授の授業だ。教授は”オンライン形式が継続の見込み”とお考えだったが、学校の方針もあり、授業は3年ぶりにオフライン。
昨年に続いて、ODRベンチャーのミドルマン株式会社の三澤社長が開発したODRシステムをデモしてくれる。ミドルマン株式会社は、昨年ODR専業として法務省のかいけつサポートの初認証を受け、日本初の「ODRのみの認証ADR事業者」として実務的なサービスを展開している。海外事例ばかりだったODRで、日本発のODRが活発に動いているのは嬉しい。ODRが日本でも普及する兆しといえるだろうが、まだまだ利用が本格的にはなっていないし、競合も少ないのは大きな課題である。しかし、今年は実績もでてきているようでリアルな現場の状況も紹介されている。
以下は基本事項として積み重ねてきた内容。
ODRの歴史、ODRの実用化海外例、ODRに関する国連の動向は例年通り。過去のことなのでここは変化しにくい。2019年からの大きな動きとして、日本でも公的機関が具体的な動きを始めたことに続き、パンデミックによる制限でオンライン化が一気に進んだこと。これは一種の外圧。外圧により進むのはとても日本的。今回は日本だけではないけれど。
国内の動向として2019年は、
日本経済再生本部が、裁判手続き等のIT化検討会(いわゆる司法のIT化)を推進。
消費者庁では、第4期消費者基本計画のあり方で、ODRの普及を提言。
日本ADR協会では、定例シンポジウムで、「ADRはどう変わるか〜IT化の可能性と課題〜」を取り上げた。
6月21日に閣議決定された「成長戦略フォローアップ」でも、ODRを含んだ検討を行い基本方針を2019年度中にまとめるとされた。
==>9月27日 ODR活性化検討会開始続く2020年は、パンデミックの真っ只中。
ODRに関する動きが活性化し、ベンチャーも複数登場しているので、一気に実用化への助走が進む兆しだ。
日本ODR協会、日本ODR事業者協会が設立され、法務省の検討会は、ODR推進検討会に進化した。
そして2021年、
成長戦略フォローアップに、ODRを身近なものにするための基本方針を2021年度中に策定すると発表され、
(1)下請け駆け込み寺でのオンライン相談
(2)離婚後の養育費、冥界交流の取り決め、履行確保の場面における非対面・遠隔での相談・ODRサービスについて
にて、自治体と連携した実証的調査研究(モデル事業)を実施
2022年は、業界の動きも着々と進んでいる。
- 日本ODR協会 設立シンポジウム(2月)
- 法務省 ODRの推進に関する基本方針
〜ODRを国民に身近なものとするためのアクション・プラン〜
(法務省)公表(4月)
執行力付与、認証制度見直し、制度整備、運用面の取り組み実施など
しかし、AIによる契約審査などと法務アドバイスについてグレーゾーン解消制度で違法性の見解が出されている。ODRだけでなく広くIT化を進める上で、法規制(弁護士法 非弁提携の禁止)がハードルとなりそうだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH142CG0U2A011C2000000/
昨年の慶応での授業に関する記事はこちら。
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