半蔵門御散歩雑談/ODR Pickups

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このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、台湾たまにロードレーサーの話題など、半蔵門やたまプラーザ付近を歩きながら雑談するように。

なつのの京2 わたせせいぞう

なつのの京2 わたせせいぞう【読書/映画感想】20240710

 

”わたせせいぞう”

といえば、就職したころ、つまり45年前あたり、「ハートカクテル」というバブル前にいい意味でバブリーなイメージの生活と男女を描いたコミックが、自分的には大ブームで、当時出ていた本は殆ど持っているイラストレーター、コミック作家だ。

そのころの作品では、

丘の上に住む彼女のところにオープンカーにバラの花を積んででかけたり、ネクタイピンをしない理由として風に靡くネクタイに自由を感じたり、別れの後の一人のバーカウンターから夜景を眺めたりする短編に、小さな理想、妄想を抱いていた。

自分が今でも、なるべくスーツでキメて、ポケットチーフを使うのはこのコミックから学んだことをいまだに踏襲しているからだ。当時は全編フルカラーだったが、この新しい作品はモノトーン。それでもとてもいい。

京都の芸妓のいるお茶屋=近江乃(おうみの)を継いだ”なつの”とその人間模様。男性は相変わらず洒落者たちで女性は芸妓とそのおかあさん(おかみさん)たち。旧作「ハートカクテル」では、若きサラリーマンとその悩み、恋、友情を描いた場面が多かったが、40年近く経った今、時代も変わり、作者も経験を経て、何かを成し遂げた人々が主人公となる作品になっている。

思えば自分のファッションや小物、仕草の多くは、ハートカクテルの影響を色濃く受けてきた。前述のポケットチーフだけでなく、いまだにネクタイピンはつけないし、腕時計は機械式だし、ツイードスーツの愛好者だ。花束を彼女に届けたことはなかったが、プレゼントなどは結構真似したかもしれない。

このコミックを追いかけなくなった、買わなくなったのはいつからだろうか。仕事が本当に忙しくなって、日本だけでの活動ではなくなったころかもしれない。”形振り(なりふり)構わず”という言葉があるが、行動の主題が利益や効率の追求だけになってしまうと、その形振りは二の次になってしまうのだろう。”形から入る”というのは自嘲的に語られることも多いが、形振りに意味がある場合も多いのだ。

www.odr-room.net女優・悠木千帆さんの遺作の一つ「日日是好日」という作品がある。そこで自分が思ったことを次のように書いている。

型から入り、あとから心を入れていく。心のために、その受け皿のために、型がある。問題が発生しても、まず、型通り対処し、そこにあとから心を、あてはめていく。そういう安定の取り方もあるんだ。極めて日本的なのかもしれない。でも、その型があることで、社会が安定し、人々の心が安定し、生活が安定する。

 

囚われすぎるのも考えものだが、最近再会したわたせ氏の作品から、形も悪くないと思う今日この頃だ。