AIx法・倫理シンポジウム聴講【たまプラビジネス余談放談】20240719
7月9日オンラインで開催された掲題のシンポジウムを聴講した。テーマは網羅的で現状を把握するのに大変有効だった。
登壇者は、研究者、弁護士、企業の担当者、政府関係者とこの分野に関わる主要な方々で、専門的かつ固有の研究内容、知見に溢れていた。
実は一番印象的だったのは、少し前までネットなどを賑わせていたSFチックなAIのリスクに関する議論がすっかりなりを顰め、より実務的、現実的な法と倫理に関する議論や規制、ガイドラインの議論が進んでいることだ。ホッとしたことでもある。
欧州、米国、日本などAI以外でも規制やルール作りに力を注いできた国々でのガイドラインや法律が進んでいる。G7でも広島AIプロセスを出し、ISO42001も進んでいる。欧州ではハードローによる方向づけ、米国はソフトロー、大統領令を受けての各省庁でのガイドライン化、日本のAI事業者ガイドライン、また中国も前のめりで特に安全性の項目で、中国らしく社会主義価値観へ反する内容への規制を打ち出す。シンガポールでは、ソフトローとAI審査のためのシステムで透明性、情報開示、自己評価ガイドを進めている。
いずれも大きな項目は同じようにまとまってきている。すなわち、人間の関与、テスト、リスクアセスメント、モニタリング、データ品質の確保、監査・認証、詳細な項目としては、倫理、プライバシー、著作権などの議論が進むが、まだ始まったところに過ぎない印象だ。
さらに詳しくは、AIへの学習データ取り込み(AIエンジンへの通常学習、利用者が自社ノウハウなどを追加で学ばせる学習、RAG(外部データベースからの情報をプロンプトに含んで学ばせる)の学習可能性)を始め、権利侵害や著作権侵害とその例外、営業秘密の扱い、守秘義務情報の扱い、プライバシー扱いの基本プロセス/例外/リスク、ハルシネーションやディスインフォメーションと利用者側の啓蒙の重要性、バイアス、バイアスそのものの多様性(日米欧ですらバイアスになる)。。。など、しかし、いずれもカッチリとまとまったわけでもなく、議論はこれからだという。
年末に開催予定のWTA(World Trutmark and trade Alliance)の年次総会シンポジウム(オンライン開催)でも、取り上げる予定である。