THE GAMESTERS(4)オノナツメ【映画/読書感想】20230902
人間の”心”に関する能力を持つ超能力者たちの謎の素性、これまでの人生。同じ作者の別作品「LADY AND OLDMAN」にも似た設定で、「LADY〜」では薬の実験の影響で不老不死の力を得た100歳越えの見た目若者とバイクを駆るジャジャ馬女子の物語だったが、今作は、傭兵をリタイヤした初老の男性と、経歴不明な富豪の男性、情熱あふれる探偵、別の能力者女史、かれらが暮らす高級アパートのドアマン(傭兵リタイヤ男性)が主人公。今後巻き込まれるであろう危ない事件はまだ全容を見せない。
登場人物たちの持つ「嘘だけを見抜く力」、「相手に思ったことと反対のことを実行させる力」、非常に限定的な力だが、それができれば、少なくとも危険は回避していける。心を読めてもそれが嘘なら被害を被るかもしれないので、扱いはデリケートだ。強力な肉体的パワーや空を飛んだり高速で移動したり、体が変形したりするようなパワーでないからこそ、その辺にもいそうな能力者たち。
さらに今回は他人の記憶をリフレッシュさせる能力を持つらしいオドオドしたマルセルが登場。彼らの能力を利用したビジネスをやろうとする怪しい実業家も蠢く。実業家は能力があるかどうか明らかになっていないが、第一のパートナーは、テレパシーで相手の脳にメッセージを送りつけることができる。
”GAMESTARS(賭博師たち)”というタイトルからすると、心を読み、逆のことをやらせ、嘘かホントかを読み、囁きを植え付け、全部忘れさせる、賭博に応用したら無敵すぎてズルすぎる。何か落とし穴が出てくるのは明白だな。
一つ得られるとしたらどれだろう。嘘かホントかわかっても、読めたとしてもそれだけじゃ危機回避はできても変化させることはできない。逆のことをさせられても、何を考えているかがわからなければ、その逆が効果的かどうかわからん。チームで動けないと結果に結びつかない、超能力も単機能では力不足だ。意外に奥深い設定じゃないか。