ブレイクニュース 著:薬丸岳【読書/映画感想】20240905
セクシーな美貌のキャスターが、センシティブな問題を、事実をベースに取材し報道するネットニュース=ブレイクニュースは、虐待、8050問題、冤罪、パパ活、ヘイトスピーチ、ネットリンチ、医療過誤などを独自の視点の取材と報道で取り上げ視聴回数を稼ぐ。関わった当事者も巻き込みながら、最後にたどり着くのは贖罪に通じるある事件の真相を伝えることだった。
「本当のこと」を伝える勇気がなかったことが物語の発端となっている。「本当のこと」を伝えるべきだ、は正論だ。だが実際には、それを伝えられないことが多いと感じている。自分でもそうだ。ドラマで本当のことを伝えて関係が破綻するストーリーもよくある。ドラマでは関係修復するが現実ではそうなるだろうか。なかなか難しそうだ。その瞬間アベンジャーズのように事実を知る仲間が登場して大円団。。。というわけにもいかない。だからこそ本人当事者ではないブレイクニュースが”暴いて”くれることが助けになるのだろうか。
丁度、とある打ち合わせで「口に出すことで支えがとれてなにもかもがうまくいくようになる」という話を聞いた。全てに通ずる事実だとは断定しないが、口に出せないことにより貯まり鬱積することは、確かに何かをうまくいかなくする一因になっているかもしれない。
それでも、全部を明らかにすればいいってもんでもないと今でも思う。スカッとすればいいってもんじゃない。ネットでは、事実でないことも述べられたりして、それを覆すのは難しい。コメントはまるで匿名の陪審員のように世間の評価を投げつけてくるが、単純に多数決に依存するのはとても危険だ。ちょっとしたポストがきっかけで、偏った多数決の風向きは変わる。いつまでもいつまでもその結果は残り続け、掘り返され、やけボックリに火がつく。デジタルタトゥ。
こんなニュースがあったらいい、と思う反面、最初だけ興味本位で消費され、なんらかの不備が指摘され消えていくような気もする。その裏には巨大な”陰謀”が蠢く?結局あまり切り込みすぎるニュースを見ているパワーはないのかもしれない。