横浜ネイバース by 岩井圭也【読書/映画感想】20241122
帯にもあるように「令和のIWGP」に同感。池袋でなく横浜、在日中国人3世が主人公。腕っ節の友達、ラッパー、引きこもりのコンピュータオタク、警官、必要な仲間が自然に協力して横浜の課題を解決する。テーマはネイバースご近所さん。IWGPほど懲悪でもなくて、例えば、1話は自殺してしまった妹の原因となった人物を探し出す友達からの依頼で、池袋西口にたまる若者に対して、横浜西口に屯する行き場のない若者たちが中心となっている。
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2話以降は、妻に内緒でゲーム課金にハマるエリートサラリーマンと相談に来た妻、かつてのテロを再度行おうと潜伏している仲間のステッカーを街中に貼りまくる男、既に横浜に溶け込んでいる相棒はそれに応じられるのか、最終話は、闇バイト詐欺に巻き込まれた若者と彼らにリンチを加えるボスを追いかけて危険な深みにハマる。
こういう探偵的な仕事は憧れる。しかし、こうした小説を読んでみると憧れではできないこともわかる。いくつかある危険な場面に対峙して凌げるかというと難しいことも想像できる。「ネジが一本外れている」と主人公本人も、最終話の”社長”にも見抜かれているが、そうでもなければこの探偵じみた行動はできそうもないだろう。