オメガ城の惨劇 by 森博嗣【読書/映画感想】20241126
日本のどこかの孤島にあるオメガ城に招待された研究者らと記者、サイカワ教授もいる。しかも招待者はマガタ・シキだ。目的も知らされず食事会が開催され、その夜に惨劇が起きた。三人が殺され一人が誘拐、事件を調べるうちに記者も窓のない建物に拉致される。やっとの思いで逃げ出すが、そこはあのマガタ・シキの事件が起きたマガタ研究所だということが明らかになる。サイカワ教授がきたことがあったからだ。そして舞台はフランスへ。ここでサイカワと記者は命を狙われることになり、事件の真相が明らかになっていく。
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「マガタ・シキ」という名前がでるだけで全ての出来事に彼女の意思、意味が含まれていると錯覚してしまうのでちょっとずるい。登場人物が”招待”に応じたのも主催者がマガタ・シキだからだし、読者も勝手に迷宮にハマり込みにいってしまう。そして、なぜサイカワなのか。犀川じゃなくて。最後には久々のあの人も登場する。森博嗣作品ファンにとってはそれだけで嬉しくなる作りでその面ではサービス満載。
ドラマや小説は劇的な殺人事件がよく起きる。最近観ているamazon primeのイコライザーシリーズも毎回死者が出てくる。そんなこんなで殺人事件自体にはショックを受けなくなってしまっている。これよくなくない?本当に殺人事件に遭遇したなら、例えば、闇バイトによる強盗に遭遇して殺されそうになったらエンタメ性などは吹き飛ぶ。ただただ恐怖、パニック、なんで俺が?やめてやめて、そんな感覚ばかりが想像されてくる。
同じ感覚は医療ドラマでも想像される。開胸して動脈を損傷され死に至る、そんな怖い場面、自分が実際にそういう手術を経験しているのに、まだ「白い巨塔」の再放送は見たくなってしまう。自分にはもうそういうことは起こらないと無邪気に信じてしまっている。
ユーミンの曲/静かなまぼろしでは、「昔の恋を懐かしく思うのは今の自分が幸せだからこそ」という名フレーズがあるが、惨劇も手術事故も今の自分にはそれは起こらないと踏んでいるからエンタメとして見ていられるのだろうな。