ODRのゲスト授業@慶應法科大学院2024【たまプラビジネス余談放談】20231129
昨日(11月28日)は、17回目となる慶應LSのODRについてのゲスト授業。民事訴訟法の三木教授の授業。昨年同様にオフライン開催。
昨年、一昨年に続いて、ODRベンチャーのミドルマン株式会社の三澤社長に開発したODRシステムをデモしてもらう。ミドルマン株式会社は、法務省のかいけつサポートの初認証を受け、日本初の「ODR専業の認証ADR事業者」として実務的なサービスを展開している。海外事例ばかりだったODRで、日本発のODRが活発に動いているのは嬉しい。ODRが日本でも普及する兆しといえるだろう。利用が本格的になってきており、競合も出てきたのは大きな進展である。
以下は基本事項として積み重ねてきた内容。ここは毎年変わらない。
ODRの歴史、ODRの実用化海外例、ODRに関する国連の動向は例年通り。過去のことなのでここは変化しにくい。2019年からの大きな動きとして、日本でも公的機関が具体的な動きを始めたことに続き、パンデミックによる制限でオンライン化が一気に進んだこと。これは一種の外圧。外圧により進むのはとても日本的。今回は日本だけではないけれど。
国内の動向として2019年は、
日本経済再生本部が、裁判手続き等のIT化検討会(いわゆる司法のIT化)を推進。
消費者庁では、第4期消費者基本計画のあり方で、ODRの普及を提言。
日本ADR協会では、定例シンポジウムで、「ADRはどう変わるか〜IT化の可能性と課題〜」を取り上げた。
6月21日に閣議決定された「成長戦略フォローアップ」でも、ODRを含んだ検討を行い基本方針を2019年度中にまとめるとされた。
==>9月27日 ODR活性化検討会開始続く2020年は、パンデミックの真っ只中。
ODRに関する動きが活性化し、ベンチャーも複数登場しているので、一気に実用化への助走が進む兆しだ。
日本ODR協会、日本ODR事業者協会が設立され、法務省の検討会は、ODR推進検討会に進化した。
2021年、
成長戦略フォローアップに、ODRを身近なものにするための基本方針を2021年度中に策定すると発表され、
(1)下請け駆け込み寺でのオンライン相談
(2)離婚後の養育費、冥界交流の取り決め、履行確保の場面における非対面・遠隔での相談・ODRサービスについて
にて、自治体と連携した実証的調査研究(モデル事業)を実施
2022年は、業界の動きも着々と進んでいる。
(1)日本ODR協会 設立シンポジウム(2月)
(2)法務省 ODRの推進に関する基本方針
〜ODRを国民に身近なものとするためのアクション・プラン〜
(法務省)公表(4月)
執行力付与、認証制度見直し、制度整備、運用面の取り組み実施など
2023年は、一斉にODRに動いたといえる。
株式会社AtoJ ワンネゴ(One Negotiation)開始 ODR実証実験に採用
日本シェアリングエコノミー協会 ODRの推進に向けた論点整理取りまとめ 1月30日
法務省 ODR実証実験「ONE:の実施 9月1日
日本弁護士連合会 同上
行政書士ADRセンター東京 4つの紛争分野すべてにおいて、オンライン調停(ODR)をスタート 4月1日
引き続き課題となっているのは、AIによる契約審査などと法務アドバイスについてグレーゾーン解消制度で違法性の見解が出されている。ODRだけでなく広くIT化を進める上で、法規制(弁護士法 非弁提携の禁止)がハードルとなりそうだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH142CG0U2A011C2000000/
新しい動きとしては、欧州のODRについては、利用率の悪さから一度見直しがはいっているようだ。
過去の慶応での授業に関する記事はこちら。