モリアーティ 著:アンソニー・ホロヴィッツ【読書/映画感想】20250105
シャーロック・ホームズと宿敵モリアーティ教授の最後の戦いで両者が滝壺に落ちてからイギリスの刑事と米国の探偵がおとづれた。アメリカの巨大悪とモリアーティが企んでいたとされる巨大陰謀を二人の男が追跡するドイル財団公認の続編。
二人の出会い、刑事のホームズばりの推理、探偵の地道な捜査能力や生い立ち、これまでの経緯を読んでいるだけでもう面白いぞ。装丁のイラストの味わいだけでも興味深い。
モリアーティは、悪事を操るが自分からは手を下さない。ピンカートン探偵社が追ってきたモリアーティと関係のある米国の巨悪クレランス・デヴァルーも、やはり恐れられているが自分からは手を下さないタイプ。それどころか沢山の慈善寄付やハーヴァードへの貢献など、表向きはむしろ善人なのは、現実世界での”権力は実は巨悪”という構図に繋がってきて、同意できない部分もあるが、それでもやっぱり面白い。
こういう設定は、ドラマ「メンタリスト」の黒幕レッド・ジョンも実態がわからないまま法執行組織の中枢まで支配して自分の手を汚さず悪事を操るので同じ構図。
大元のヒントはシャーロック・ホームズのモリアーティ設定なのかもしれないな。そしてこの小説に隠された秘密の設定は最後までわからない。いったい誰が誰でどういう背景でどういう仕掛けになっているのか。誰が味方で誰が敵なのか。大どんでん返しはそうくるのかと爽快に裏切られる。読む価値ありの2025年新年推薦飯。