心心 〜東京の星、上海の月〜 著:石田衣良【読書/映画感想】20250413
声優を目指す日本と中国の夢を追う若者たちの青春群像、しかし、不思議な声を持つ中国の少女の本当の姿はとてつもない背景と運命を抱えていた。
どうも最近は本当に涙脆くていけない。冒頭のクラスでの自己紹介シーンでもうジワっときてしまう。自分がもうそうなれないことがわかっているからだろうか。かつてそんな気分で大学や就職を体験してきたからだろうか。自己紹介ってこんなにワクワクするものだったろうか。一発かましてやろうという前向きな気持ちで臨めていただろうか。ニヒルに斜に構えてやり過ごしていたかもしれない。今にして思えばそれは逃げだったんだよな。傷つかないための逃げ。深く考えもせずその場をやり過ごしてきたかもしれない。だからこんなふうにアツいシーンに触れると涙が出てしまうのか。そうだとすれば悔し涙か。
企業でも学校でも社会に接していれば自分達の行動がその先の未来に少なからず影響を及ぼすはずだ。そんな風に考えたことがあったろうか。そしていざ、それを考えた時に今度は間違いが怖くて観ぬふりをしたことがなかったか。
クライマックスで訴えられるのは、
「次の世代を信じるかどうか」
だ。日本の企業経営者や政治家の高齢化は、この点の答えを先送りにし続けている結果なのかもしれない。
「間違うかどうか」
の問題ではないのだ。
「選択を正解に持っていくかどうか」
そのことが大事な点であるのだ。読む価値ある佳作だ。
Diary:孫のランドセルを買いに行く予定だったが、ちょっとお腹の調子がよくないのでドタキャンさせてもらって留守番に切り替え。しかし、天気もよくて庭先の掃除を行う。桜の花びらが風に舞ってしまって掃いても掃いても片付かないで適当に切り上げ。そして午後は愛犬と一緒にデッキに出て陽の光を浴びながら読書で、セロトニンを生成、メラトニンに変化してよく眠れるように。