【ODRピックアップ】20151030 敷金返還問題
新オフィス移転に伴って、旧オフィスを退去しました。全ての所有物は運び出し、簡単に清掃。鍵を返却しながら不動産業者さんと一緒に内部を点検して特段の損傷等がないのでこれで終了。
「あとはなにか不備がなければ敷金を全額償却して終了です」
ちょっと待った!
敷金の返還については、
「一般に賃借物件の修繕は、借り主の落ち度による汚損・破損の場合を除いては、貸主の義務」
という判例解釈となっており、即ち余程の汚損、破損がなければ全額返還されるということになっています。最も、「契約時にハウスクリーニングの費用は借主が負担する特約が結ばれている」場合には、クリーニングを行う義務が生じていますので、自分でキレイにしてでなければいけません。
その他、負担すべきものとそうでないものの区別の一例。
(1)床のキズ・汚れ
【借り主が負担】 【貸し主負担】
- フローリングのキズ・へこみ ・ワックスがけ
- ・カーペットへの家具の跡やへこみ
- シミ カビ ・日光による変色 ・ポスターや絵画の跡
(2)壁・天井のキズ・汚れ
【借り主が負担】 【貸し主負担】
- 壁のくぎ穴 やネジ穴 ・壁の画びょう穴やピンの穴
- タバコのヤニによる壁の変色 ・テレビ 冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ
- 水漏れ壁が腐食 ・エアコン(借主所有)設置による壁の穴
- 台所の油汚れ ・日光によるクロス変色
- ペットによるキズ・汚れ ・壁紙クロスの変色
(3)ガラス・柱のキズ・汚れ
【借り主が負担】 【貸し主負担】
- ペットによるキズ・汚れ ・天災(地震)でのヒビがはいったガラス
- ・網戸の張替え
(4)設備・その他のキズ・汚れ
【借り主が負担】 【貸し主負担】
- 鍵穴を破損、鍵を紛失 ・通常の鍵の交換
- 水垢、カビの清掃 ・台所やトイレなどの水回りの消毒
ざっと見る限り、故意あるいは不注意による損傷やその修理は借り主負担。通常の使用で発生する劣化は貸し主負担となっています。それから程度の問題もあるようで、くぎ穴やネジはダメですが、画鋲はいいとか、タバコヤニはだめだが、冷蔵庫などの後部背面の汚れはいいとか。
しかし、実際には余程普段からマメに掃除をしておかないと水回りのカビなどは避けられず、清掃で落すのも自力では大変過ぎます。判例では借り主が勝訴していますが、実際には、特にオフィス使用だった場合には、退去時にそんなにキレイにできそうもないですね。
当社の場合は、汚れ、カビ、クギ穴、ネジ穴等もあり、返金は難しいかな。。。