ODR Pickups/半蔵門ビジネストーク

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、たまにロードレーサーの話題など、半蔵門付近を歩きながら雑談するようにリラックスしたお話中心。

【読書/映画感想】20170224 ロボット・イン・ザ・ガーデンでタング・ロス

【読書/映画感想】20170224 ロボット・イン・ザ・ガーデンでタング・ロス

 

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オビにも書いてあるが、本を読み終わってしまたことが寂しいと感じたのは久々というか、初めてかもしれない。

 

あらすじ

すれ違い夫婦の庭先に現れた旧式のロボットを巡って家を出てしまった妻と彼女を追うこともしない夫は、壊れそうなロボットの制作者を探して世界を半周し、無事に目的を果たして戻ってくる。そして、彼の旅はいろいろな大事なことをみんなにも気付かせて。。。

 

外見とは裏腹に、唯一無二の人間的な自己学習ができる優れた機能を持ったロボット「タング(自称)」は、なんで?とやだ!という意思表示や、自分が鉄でできてないと嘘をついたり、空気を読まないかと思えば、約束を守って口を閉ざし、時にしかられていじけたりもする。

主人公(主人公はロボットと人間、人間の主人公のほう)ベンは、子供はいないが、タングを子供のようにしかし対等に扱いながら、育てていくことで、自分をも振り返りある意味での成長をしていく。

 

まるで本当の子育て

 

タングは、超高度なAIエンジンを搭載している設定だ。最近の映画「チャッピー」が、自分の名前を覚えて成長していくように、迷い込んだ(実際には、アジアの島から逃げて来た)庭先で出会えたベンと旅をしながらいろいろを学ぶが、例えば、楽しいという概念がわからない。グラス底ボートで、海の魚を見ることは楽しんでいるように見えるが、雪合戦をしてはしゃぐものの、それがボートで魚を見るのと同じように楽しいということなんだと言われても分からない。

 しかし、やだ!という意思表示を覚えて、それで人間が言うことを聞いてくれることがあるとわかると、やだ!を駆使して、何かを手に入れるようになったり(要するに子供のわがまま的な)、そうかと思えば、ロボットらしく論理的に、「今日は家具を買いに、明日は車を買いに」とベンが言えば、「車を先に買わないと、家具が車に積み込めない」と指摘して説得したりもする。

 

個人用AIの普及のためには

 

最近話題となった、囲碁名人に勝利したAI棋士は、囲碁だけの目的ように徹底的に学習し、鍛えられカスタマイズされたAIエンジンだと聞く。CMに登場するボブディランと会話するAIはあくまでCMの世界のものだろう。

本の設定では、AIを搭載したアンドロイドが普及しているが、それぞれが目的別になっている。例えば、家事+庭掃除とか、運転専用とか、目的別の設定(目的に応じたAIの知識が搭載されているような)が行なわれて、家庭用に販売されているが、多目的ではない。だから、運転手専用のアンドロイドにゴルフのキャディーをさせるとAIが暴走して壊れてしまったり。

個人用にすぐ使えるアンドロイドは、予めある機能の設定が大量生産的になされていて、個別の好みには変えられないのだろう。

 

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AI園児?

この文を書いている時に、「AIエンジン」と書こうとして、変換キーを押すタイミングを間違い、「AI園児」と何度も誤変換をした。そうだ。まるで彼は園児のペースで成長していく。

タングは、自分で学習していくことはいくが、その学習過程は、体験をもとにして学んでいく。まるで人間のように。人間からすれば子育てをしているようだ。

アンドロイドにせよロボットにせよ、個人用にパーソナライズされた知識を持ったAIが普及するためには、本書のなかのタングのように、体験によって学習させていく以外にはないように思える。

 

 今年のお薦め文庫第一号です。