【ODRピックアップ】20140821 印籠と空手チョップとジャブとワンツー
印籠(いんろう)と空手チョップは、娘達を始め若い人に話しても「なにそれ?」
といわれる可能性が高いのですが、
「印籠」は、嘗ての長寿番組「水戸黄門」の主人公、徳川幕府の副将軍、水戸光圀公が、諸国漫遊して悪を懲らしめる勧善懲悪型のドラマで、最後の最後に自分の身分を明かす時にお伴の角さんが取り出し、頭上高くかかげ、「ええーい!この紋所が目に入らぬかーーー!!」というと、それまで暴れていた悪人も「へへー」とひれ伏す代物。将軍家の権力が強い徳川時代にあっては、その人が徳川家の人間ということを示せば、その場がコトの収拾できるすごい威力の宝刀でした。
「空手チョップ」は、戦後復興期に、プロレスラー「力道山」が、赤鼻で青い目の巨漢欧米人レスラーの圧倒的なパワーと卑怯な急所打ちなどに耐えに耐え、最後に堪忍袋の尾が切れて繰り出す、一撃必殺技。(プロレスのショー性はさておき)こちらも、手刀を相手の喉元に斬りつけるようにあてると、もんどりうって倒れ、一気に形勢逆転の技(?)だったのです。
あるとき殆ど決まりかけた商談を一晩でひっくり返されたことがありました。競合先が繰り出した最終兵器(提案)は、向こう1年間の印刷用紙代を無料とすること。そりゃあ、普通の企業は太刀打ちできません。用紙を供給している企業がグループ内にいるからできることですが、まさに一撃必殺でした。
印籠も空手チョップも、それまでの状況を一気にひっくり返し、しかも決着をつけてくれる最終兵器。それがあれば、途中がどんな状況になっても無敵です。そういうものが欲しいですよね。
怪獣映画のスーパーヒーローも、青春ドラマのケンカが強くて曲がったことが嫌いな番長も、スポーツドラマでのミラクルなスマッシュや魔球などの必殺技も、一気に形勢逆転の一撃必殺。どうも我々は、こうした「最終兵器」が出てくることを望んでいるようです。しかしやっぱりこうした最終兵器は、上に挙げた例でもわかるようにドラマやアニメ、ショーの世界。ビジネスの件は例外です。
実際のスポーツでも、例えば、ボクシングの基本の攻撃は、短いジャブとワンツーのコンビネーションと言われます。決して一撃必殺ではありませんが、ジャブは相手との距離をはかり、同時に相手の攻撃を牽制し、徐々にスタミナを奪い、次の攻撃も大振りのハンマーパンチではなく、左右のコンパクトに振り抜くワンツーパンチ。
野球だってシングルヒットとバント、スチールの組み合わせでコツコツと点を採るのが基本です。
ビジネスでは、一撃必殺より、一撃必殺があったとしてもそれを使わずに済ませるよう、着実に進めるほうが信頼されるのではないかと思います。巨額な案件を時々決めるより、小さな仕事をコツコツと定期的に積み重ねる安定感。すぐに連絡がとれる安心感。話を親身に聞いてくれる甲斐性。ジャブとワンツーのコンビネーションそのものです。
最後に全て一気に解消してくれる一撃必殺、あるいはスーパーヒーロー願望は、最後は解決するということを期待して、実は、その途中の過程がどうであっても問題ない、という手抜きあるいは未戦略思考の裏返し。
ただ、ジャブとワンツーで自分がスタミナ切れということもあるので、やはり一撃必殺も大事です。結局、ジャブとワンツーと一撃必殺のセットで戦わないといけないということですね。
ところでそろそろ宝くじでもあたらないかな。
。。。あ。。これもか。。?