【ODRピックアップ】 20151116 TPPと電子商取引
既に報道されているように、TPPは長い議論と駆け引きの末、まとまる方向になりつつあります。関税の部分に焦点が集まっていますが、それ以外の分野のルールも重要。電子商取引についても。
関税がかからなくなる、あるいは、軽減されれば、国外の製品を購入する消費者にとってその分安く購入できることのメリットがありますし、国外に売るものがある国にとっては、「電子商取引は、拠点の設置が不要なため投資を抑えられ、海外の消費者などと直接、取引ができる。」ことが、メリットとなります。
関連して、1)ビジネスをする条件として自国内にコンピューター関連設備の設置を要求しない、2)締約国間の電子的な送信に関税を課さない、ことは、企業にとって越境取引に参入しやすくなり、3)量販用ソフトウエアのソースコードの移転やアクセスを原則として要求しないことで、一部の国から要求されているような、知財的な懸念が払拭されます。
しかし、4)必要な場合、電子的な方法での越境情報移転を認める、ことで、より一層、5)電子商取引利用者、オンライン消費者の保護に関する規律を定めることが、要求されてきますので、当然のことながら、これらに対する対策は企業が行わなければならないのはいうまでもありません。
まだ各国が条約を批准して国内法への調整など、国毎にそれぞれのプロセスを経る時間がかかりますが、売るものがあり、購買力もある日本としては、これをうまく攻める力として捉えていきたいものです。