【ODRピックアップ/半蔵門ビジネストーク】20160824 あーキミ!うちにも早いとこAI入れてくれないか
人工知能の囲碁が、人間の囲碁チャンピオンを打ち負かし、クイズ王を破ったのは少し前に話題になりました。
1.TVのCMで
渡辺謙やボブディラン、セリーナウィリアムズが、人工知能ワトソンと対話するシーンが登場するようになりました。
LINEが提供する女子高生AIボット「りんな」は、それ風の口調で結構きちんと対話ができるので驚いています。しかも、応えたくないと話題を転換するようにも見えるのは優れものです。
2.仕事を奪う?
映画の中だけと思っていた人工知能的なモノは、人間の仕事を奪うのではという危機感をわかせて、AIによる失業危機を煽る記事もちらほらと。
そんなこともあって、気の早い知り合いの会社の代表者は、宣います。
「キミ!うちにも早いとこAI入れてくれないか」
3.AI幻想
意図しているのは、自分の変りに、自分のノウハウを持ったAIが仕事を変りにやってくれることなのですが、これまでも、新しい技術等が出てくると、CMや宣伝にあるような機能がすぐに利用できると思ってしまったのと同様に、何も苦労なくすぐに使えると思ってしまうのは、リテラシーに依存するので仕方ないのですが、使えるまでの道筋はある程度説明を受けて意識しないと、せっかく導入しても、「なんだ!使えないじゃないか!」と進歩に欠かせないアーリーアダプターのブームに水を差します。
4.AIの方式
というかなんと言うか。判りやすい例として露出しているのは、「自然言語を理解して、自然言語で回答する」姿ですが、中核は、音声認識と周辺情報や関連情報、質問者の情報、質問者の意図などを総合的に解釈、判断して、回答を探し出し、構築する仕組みです。
AIには、いくつかの方式、技術が存在しています。
- 判断ロジックを全て教える方式
- ニューラルネットワークで構成する方式
- ディープラーニングでAIが自身で学習していく方式
どの方式にするにしても、利用者の代わりを務めるには、ノウハウを教え込まなければいけません。CMに出てくるワトソンを買ってきただけでは、IBM社が教え込んだノウハウが入っているだけで、利用者の気に入ったアウトプットーそれは手紙ひとつにしてもー勝手に学んでくれる訳ではなく、教え込まないといけないのですが、その方法はもやっとしているのです。
5.例えば、暑中見舞いの文章を書くとして
季節の挨拶や決まり文句、締めの言葉などはある程度パターン化できますが、近況や予定を探し出してきて、家族のことや、仕事のこと、あるいは趣味のことなど、あらゆるデータをAIがアクセスできるように、適切に投入し、それらを嫌みにならないように、露出して、まとめるための、ルール的な癖を登録(するような作業)が必ず必要となりますし、アウトプットが思ったようにならなければ、論理的な回路?を修正するのは試行錯誤ですし、例えば、来年になって少し趣向が変れば、また調整が必要となり、の繰り返しで、ソフト会社は喜ぶでしょうが、なんのためのAIかわからなくなりそうです。
6.AI育成は結構大変
例として、AIに何かを教える判りやすい例を、以下に。
”人口無能”という謙遜した名称の機能だけに、あらゆる言葉を教えなければならないのが、AIの構築の大変さをあらわしていると思います。
IBMのワトソンも同様です。
ゼロから導入するWatsonは全く何もわかりません。まさに赤ちゃんのような状態です。蓄積されたデータが何もないのでなにを聞いてもわかりません。花屋さん業界用のワトソンが納品されるのではなく、赤ちゃんのWatsonが納品されるという感じです。
7.実際の導入場面
テレビのCMとは異なる部分も多く、サポートセンターやホテルのコンシェルジュなどでは、人間のスタッフの知識をサポートするための検索データベース的なものになったり、作業現場のスタッフがマニュアルとして手順書や対応パターンを探すなど、専門化をサポートするアシスタント的な役割となりそうです。そうなると、グーグルなどの検索エンジンで探すことを前提として、自然言語処理で、質問を最適化するだけのようにも見えてきます。今のところはその段階なのかもしれません。
でも、やっぱり欲しいのは確かです。。。