【ODRピックアップ】20130725 く、く、空中権???
50歳も中盤に差し掛かると、様々な事情や思惑から生まれ故郷に度々顔を出すようになる人が増えるようで、中学時代の同級生などと顔を合わせたり、ビジネスでの接点が出て来たりすることも多くなり、必然的に食事したり飲みにいったりする機会が増えてくるようです。
サケのツマミは昔話。イタズラの話や武勇伝に混じって、思春期ちょっと前の男子と女子が隣同士の席になって、照れ隠しで机上の陣地争いをやった思い出話がでてきました。
「この線からはみ出ないでよ?」
「オマエこそでるなよ!」
「あ!今肘が出た!」
「空中だったらいいんだよ」
と、書いているのも恥ずかしい戯れのような陣地争い。
物理的な線の引けない空中の権利。
安倍首相のアベノミクス第三の矢。成長戦略が発表されましたが、その中に見慣れない用語がありました。
空中権売買。
く、く、くうちゅうけん?
低層の建造物の上空で使われていない部分の容積率を活用する権利です。
成長戦略では、老朽化が問題になっている首都高の改修のために、半地下になっている首都高に蓋をして、地盤を造成し、その空中権を近隣のビルに売却して費用を捻出しようというものです。容積率の制限で高くできないビルは、空中権を利用してビルを高くして資産効率を向上させ、改修によって建設業などに資金が周り、最終的にはビルおよび都市の再開発で、活性化に繋げていくことが狙いです。
http://matome.naver.jp/odai/2134916143073298101
これは、知りませんでした。それにしても面白い発想ですね。
空中権取引は、都市部の限られた空間を有効に活用する手段として、100年ほど前に米国で考案されたもの。
出典東京駅の空中権取引と新丸の内ビル:空中権
ということで、流石米国には、こうしたアイデアを考案し、実現するところは、本当に感心します。
実際に、
JR東日本はこの制度を利用して東京駅の「空中権」をほかのビルに売却し、復元のための工事費およそ500億円を賄いました。
出典:東京駅 復元工費を調達した“空中権”とは? NHKニュース
なのだそうです。
具体的には、民法269条の2に定められています。
http://www.houko.com/00/01/M29/089.HTM#s2.4
建物の高さは、土地の広さに対応して容積率が決められており、土地が狭ければ高いビルは建てられません。銀座などは、狭い土地が多く、結果としてビルの高さが制限されていますが、空中権を活用すればより高いビルにすることができるため、再開発の自由度も増します。一気に建て替えが進むかもしれません。
中学時代。空中権を争っていた2人は、その後、結婚して今では幸せな家庭を築いています。
アベノミクスの空中権もうまくいくといいですね。