【ODRピックアップ】20150325 断絶
2008年に、それまで27年間勤務していた中堅のIT企業を退職して、現在の会社を始めたのですが、気がつけば既に、7期目が終わりに近づき、8期目が目の前。ずっとお仕事をさせていただいているお客様、一緒にビジネスを維持してくれたパートナー、技術面で支えていただいている各社さんはじめ、愚痴にまで付き合ってくれる友人たち、生活、健康全てを支えてくれる家族のお陰と感謝しています。
先日、 IT企業勤務時代に、新入社員で配属されてきた人物から、何年ぶりかで電話がありました。配属は、1994年くらいだったと記憶していますので、彼も既にアラフォー世代。しかも、私より随分前に退職して自分で会社を立ち上げましたので、経営者としては、先輩です。その彼が電話口でいうのは、「会社の経営について相談に乗ってほしい」ということでしたので、一先ずミーティングを設定。雑談も含めて色々とお話をしているところです。人に頼られる、相談されるのは嬉しいものです。
さて、頼られて喜んで、話し込んでいる時にふと気づきました。
(そういえば、あの頃は、いつも部下に相談され、どうすべきか指示したり、考えたりしていたな。)
”コンテンツ”という分野が言葉としてもIT業界では新しかったことから、外部からも”いい身分でなにやってんの”と揶揄されたり、自分たちも立ち位置を見つけられなかったころでした。日常業務の指示の他に、未来の自分たちの仕事ぶりを小説風にして配布してみたりもしました。(多分ウザかった。。。”ウザイ”という言葉はまだなかったかも)
特に強調していたのは、
「貴方の名前で仕事をしなさい」
ということでした。
勿論企業人ですから、会社の名前を背負って、会社の名前を利用して、組織としての仕事が基本でしたが、お客様から「貴方に頼んでいるんだよ」と言わせるくらいになろうということです。これは、個性を押し出して勝手にやれという意味ではなく、”この人に頼もう”と思ってもらえる”貴方品質”を確立しなさいということ。
これは、組織から見ると、人材が離反してしまうリスクとなるように思われるかもしれませんが、付け加えていたのは、「つまり、貴方品質の仕事をする限り、どの組織でも同じだということ」。個性的な人材が揃っていたせいもありますが、結果として、”その人”がいるから継続的に仕事が依頼される状態にまでなったと思います。同社は、私が退職した今でも、その当時のお客様と20年近い御付き合いとなっていると聞いています。これは、継続できる関係を築けたということ。流行の言葉でいうと、”持続可能な関係”です。
独立して7年目。
一緒に仕事をする人々は、基本的に一国一城の主たち。ほぼ完成された人々です。勿論仕事に絡んで夜の街にも繰り出したりすることはありますが、基本的には精神的な懐は開くまでにはなりませんし、踏み込んで行くこともありません。悩み相談や指導するような場面もない。
経営は一時の事ではありません。お客様のビジネスがそうであるように、サービスを提供する側も継続していくことが重要で、それはサービスを提供する限りついて回る責任です。
”継続”は、いつまで?少なくとも必要とされていて、ビジネスが続いている間。。5年?10年。。いや創業100年以上の企業だってあります。今のサービスや製品を明日提供することと同時に、ずっと改良、提供し続けることも責任となれば、1世代ではなく後継する人材を育てることも責任といえます。
そう。
自分で経営し始めてから、”誰も育てていない”のです。困ったことに。
そして寂しさを抱く。
ただ、もしかすると、育てる必要はなくなっているのかもしれません。
ベテランだらけになってきたIT業界に対する一抹の不安http://ascii.jp/elem/000/000/766/766619/
みんなまったく違う分野のスキル、勝負になってきているのかもしれません。
そしておせっかいなオジサンになっていく。