【ODRピックアップ】 20150622 株主総会集中せず
6月になるとかつて所属していた上場企業の株主総会を思い出します。株主として出席できる人は出席するように要請があり、当時はもうこなくなっていた「総会屋」対策の練習をしたものです。
グラフの推移では、当時(1996年ころ)の株主総会集中率は95%を超えていました。これは、万が一総会屋といわれる人達が来る可能性がある場合、株主総会の日が重複すれば、流石に、全部に出席することはできませんので、そうした事態を避けることができるように、各社が同じ日に開いていたからです。
これより前の1981年の商法改正により、
「株主の権利の行使に関する利益供与罪」が導入されました。(会社法970条)
"株主の権利の行使"に関し、当該株式会社又はその子会社の計算において”財産上の利益”を供与したとき」すなわち、”株主の権利行使”=株主総会です。”財産上の利益”=株主総会の議事の円滑な進行を依頼して対価を支払った場合です。一般の株主に発言させないように騒いだり、恫喝したり、あるいは、議事進行を妨げたりした場合や、騒がないかわりに利益を供与した場合に罪になります。
この罪は厳しく、法定刑は贈賄側と収賄側とも「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」です。さらに、欠格事由となり取締役になれなくなります。結果、利益供与する側も総会屋も登場しなくなり、この法律は功を奏しました。
その後、集中率は減少します。
総会屋が活動できなにくくなったことにより、株主総会を重複させる必要がなくなったからです。寧ろ、複数の株式を保有する一般株主にとっては、重複日程は出席できる会社を絞ることになってしまい不都合です。さらにネット証券が普及して、多くの人が容易に複数の株式を保有する機会も増えました。こうした状況を反映してか、今年の集中率は、41%にまで落ちています。
もっとも、総会屋に関係なく、日本企業の決算期が3月末になっていることが多く、決算後3ヶ月以内に株主総会を開かないといけないため、6月末になること、また、最終日にしてしまうと、総会が紛糾したりして長引いた場合、末日を過ぎてしまうこと、月曜にすると、週末に到着する議決権行使書の集計が間に合わないことなどから、結果的に同じような日程になってしまうということではあるのですが。。。
株式投資をしている方は、総会が平日に行なわれる会社も多いので難しいかもしれませんが、株主総会に足を運んで、その雰囲気を味わうのもいいものではないでしょうか。