半蔵門御散歩雑談/ODR Pickups

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、台湾たまにロードレーサーの話題など、半蔵門やたまプラーザ付近を歩きながら雑談するように。

器と資質

器と資質【たまプラビジネス余談放談】20220524

 

最近の話題。

「社長の器っていうのはあるんだろうな」っていうこと、

「その資質っていうのもあるんだろうな」って。

そして、

「それらは育成できるのか」、

「それらの要素はなんなのだろうか」

そんなことを考えている。

 

地方創生を目指して出身の地元に会社を作った。次世代につなげられるように、先の短い世代ではなく息子世代に委ねようと、社長に若手を据えた。何をどうするかも手探りだ。器と資質。これを、その要素を、別の言葉で考えてみる。

 

資質は形から

・経理と法務

育成が目的なので、形から入った。株式会社としては、社長が株主総会の議長であり、合法的な進行手順で総会を仕切ることは、資質や器以前の”技術”的なこと。台本を作り、進行シートを作り、地方企業で小さい仲間内企業はこういうことができていないこともある。請求書を出す仕組みや、経費を俯瞰して管理するシートなども整えた。経理や法務が見られない経営者ではいけないのである。

・未来構想が描けるか

市場がない、または小さい、起業環境も不整備、そして正義が勝たないこともある地方特有の風土、これらへの正解は自分にもない。これは一緒に考えていくしかない。

避けて通るべきでないのは事業規模への構想。できることをやろうとか、こういうことはやる、やらない、とかと並行して、どれくらいの仲間、社員、パートナーたちに事業利益を分配できるかを考えるべきだ。この規模こそが後述する器の指標になる。

・年上部下を扱えるか

若手を経営者として最初から育成するときに必ず当たる壁。こういう相談は地方でなくても多い。形式から育成を始めたが情も大事だ。年上部下をたてつつ、形式で締めていく。

 

器は生来のものか

・創業者カリスマ性

自分が長く勤めた企業は昔でいうベンチャーだった。創業者は叩き上げ。酸いも甘いも噛み分けてきた強者。強者はオーラを発する。社長室に呼ばれて意見を言ってみろと言われると、呼吸が止まってしまう威圧感があって掠れた声になってしまう。しかし、論理的にはこれは自分側の問題だ。超常現象のようなオーラが物理的な効果を出すという研究結果もない。実際は、創業の物語に自分で勝手に威圧されているだけだ。どうしてそうなるのか。「物語があるかどうか」、なのかもしれない。

・世襲二代目

叩き上げでなくて、物語もない二代目には仕える気がおきなかった。大声や強引で形式的な威圧感では威圧もされない。二代目には二代目なりの物語が必要となる。器、資質を、自分で物語として形にしてメッセージをぶつけてこないとカリスマにはなれない。否。二代目にはカリスマはいらないのかもしれない。法と経理とマーケティング。これを語れることが二代目社長の資質の物語だ。

・資金(カネ)の調達ができるかどうか

”カネを調達”という言い方は、詐欺師ぽいニュアンスがある。自分の描いた夢を自分の言葉で語り、必ず達成するという覚悟を語り、伝え、そのことを信じている、その裏付けが腹落ちする説明の言葉に変えられるかどうか。最後の根拠が、誰それが言っているからとか、誰かの論文や文章にあるからとか、に行きつかないで説明できて納得させられるかどうか。信じるかどうかっていう言葉は綺麗すぎ。おもしれーつきあうぜっていう気分にできるかどうかか。

もちろん土台となるのは、その事業のコアとなる要素の競争力、将来性、市場の定義や将来性、現実性、期待できる規模、調達見込み、などの明快さや納得できるかなど。美しい言葉にも惑わされないように。

 

結論としては、

器も資質もあとづけできるものだと思っている。

ある世襲後継者は、叩き上げの業務経験も少なく、人間的にはゲスで、全く認められないし、自分は残りの人生ついていくのを遠慮した人間性だが、周囲をイエスマンで固めて、差別評価も乱発して、転職出戻りも再雇用して、それでも、企業としての利益をしっかりと達成し、株価も順調だ、と聞いている。あえていうなら帝王学的な育成だったのかもしれない。それも有効なのかもしれない。

 

結局、本物の社長の器は、器なんて意識しないでいられるかどうか。資質なんて気にせず、自分でひらめき、実行作戦を考え、資金をひっぱってきて、誰かを巻き込んで、助けられて、実行に移す度胸、それが、器と資質なんだなと。