【ODRピックアップ】20151111 送らないメール
クーリエジャポン2015年12月号は、ビッグデータ時代の各国諜報機関の戦術の変化を特集しています。
1.ペトレイアス将軍の送らないメール
諜報(インテリジェンス)の世界は、冷戦時代の古典的な1.0(人間関係をベースに潜入して行なわれているもの)、スノーデン事件までの2.0(2.0はネット上のデータを出来るだけかき集める)手法で、今やいくらストレージがあっても足りないところに近づいています。英国は、ペタバイト単位で大英博物館の文字情報量の192倍/日、米国はユタ州に新たなデータセンターを開設し、データ保管はエクサ単位までになります。ネットでの情報送受信は便利ですが、傍受されていることを覚悟した上で使うことはもはや言うまでもありません。
米国CIAの元長官だったデヴィッド・ペトレイアス将軍は、自分の組織や国防総省のメールやSNS監視を知っていたので”重要な秘密の”私的なメールは送信しなかったとされています。では、どうしたかというと、メールは全て下書きで残しておき、アカウントを相手に教えて、相手はその下書きを読み、返事もそこに書いて下書きにしておくという方法を取っていたそうです。
なるほど。メールとして送信はされていないので、そのルートでの傍受はされないですね。最終的にこの方式が暴露されたのは、相手がそのことを暴露したからで、ハッキングによるものではありませんでした。
ただし、ここで使われたのはGmailだそうですが、Googleの利用規約によれば、一つのアカウントを共有することは禁止されていますので、
ということで必ずしもルールに準じてはいませんが、できうる情報の傍受防止対策にはなりうるかもしれません。
2.諜報3.0時代
そして、やっぱり情報発信や公開には、あまりにも無防備では困る時代になりつつあるという話。
諜報3.0は、ネット上でのヒューミント。つまり、ネット上でその国の誰かになり、SNSにはそこに住んでいる実在の人物のように情報をアップデートし続けることにより、ネットコミュニティに適応し、情報を集める手法となるとしています。
(参考:クーリエジャポン2015年12月号 インテリジェンス3.0 諜報の新時代を生きるスパイたち)
ここのところ物理的な防衛の話題で既存のマスコミもネットのクチコミも溢れていますが、この諜報3.0に加えて気になるのはテクノロジーへの投資。中国のドローンメーカーが、月着陸を記録した過酷な環境にも強いカメラメーカー ハッセルブラッドの大株主のひとりになりました。
当然このドローンは諜報活動やその先の行為にも使われていく可能性があり、そうした事柄は非公開で進んでいくだろう。諜報3.0は、静かに重要な役割を果たしていく。