【ODRピックアップ】20160311 デジタルフォレンジック
数年前ですが家に帰ると家内が怒っていました。
「何?」と聞くと、
「貴方のパソコンの履歴を見たわ。何であんなサイト見たの?」
「ちょちょ。。。待ってよ!何々?」と聞いてみると、
「ブラウザの検索履歴から見たら離婚、不倫などの検索履歴があった」と。
確かに、友人の友人から相談されて、弁護士さんを探してくれないかとの依頼があったので下調べをしたのです。事情を説明して、やっと渋々と納得したようですが、私たちのパソコンはデジタルな生活の痕跡と思考の痕跡で溢れているのです。
2000年から2006年まで、イスラエルの企業との紛争で証人として関わりました。実際にビジネスとして活動していたのは、1996年なので、紛争の中身はその間のこととなります。すなわち、事実として提出される証拠は、その期間のこと。2006年に、1996年のことをホジくり返すわけですから、記憶だけでは大変です。書面の証拠は、契約書やそれに至る文書の交換、注文書、納品書、仕様書等々。。。それにまつわるいきさつは殆どが電子メールの中です。当時は、証拠は全て印刷物として提示が条件となり、証拠となるやり取りを引っ張りだして印刷。おおよそ2〜3千枚になる膨大な電子メールでした。しかし、電子メールはテキストデータですので、印刷する前に改竄も可能。勿論我々はそんなことはしませんでしたが、「相手がしてくる可能性がある」として、疑いの目を光らせていたものです。取り越し苦労に終わりましたが。。
こうした電子的な証拠はデジタルフォレンジックと言われています。
forensicsとは、「法医学、鑑識、科学捜査などの意味があり、コンピュータ犯罪の捜査などで、コンピュータ内のデータや履歴などを分析して、法的に証拠として使うための保全などの技術も含めた総称」です。
最近では、コンピュータ犯罪に関わらず、コンピュータのデータも証拠となることから、ディスカバリーという制度のある米国との訴訟では必須の技術分野になってきています。
最近では、フローピーディスクの改竄で「大阪地検特捜部主任検事証拠改ざん事件
」として報道されたことは、記憶に新しいことです。
北海道大学の町村教授のブログで、デジタルフォレンジックについての記事が紹介されています。
jugement:強盗殺人とデジタル・フォレンジック: Matimulog
ここでは、自宅から押収されたパソコンの検索履歴が証拠として採用され、重要な証拠の一つとなりました。
判決文より
「捜査報告書等の関係証拠によれば、被告人は、平成23年2月7日午前2時16分ころから同日午前3時27分ころにかけて,被告5人方において,自宅パソコンを用いて,「血の臭い 消す」「殺人懲役」「海岸 白骨」 などといった語句を,インターネットで検索している事実が認められる。」
これは、前述の私が家内に証拠として突きつけられたのと同じ検索履歴。
考えてみると、検索履歴だけでなく、数々のアクセス履歴には位置情報、時刻情報も含まれていますから、万が一事件に巻き込まれたり、容疑者にでもなろうものなら、自分の痕跡がほじくり返されることは覚悟しておかないといけません。
ライフログ マイノリティレポートの世界
ライフログ/マイノリティレポートの世界|“法務がHomeにやってきた”~Homu is coming Home.~|ライフスタイル|ヨミモノ|QuonNet
今どこサーチ
今どこサーチ|“法務がHomeにやってきた”~Homu is coming Home.~|ライフスタイル|ヨミモノ|QuonNet
世界を覗いていいんですか?
世界を覗いていいんですか?|“法務がHomeにやってきた”~Homu is coming Home.~|ライフスタイル|ヨミモノ|QuonNet
ライフログ時代 プライバシーと個人情報
ライフログ時代ープライバシーと個人情報|“法務がHomeにやってきた”~Homu is coming Home.~|ライフスタイル|ヨミモノ|QuonNet
参考: