【ODRピックアップ】20160426 あ!それは証拠隠滅!!?
2016年4月18日の日経新聞朝刊の法務面は、興味深い記事満載でした。
1.大手法律事務所がためらい
企業の透明性を確保するため、社外取締役が重視、着目されてきていますが、その”有力な供給源”とされている大手法律事務所の弁護士さんが、「就任にためらい」。なぜなら、どこかの企業の社外取締役に就任すれば、そのライバル企業からの法律案件を受けることは、利益相反になってしまい、本業の受任に影響がでるからです。米国等では、利益相反は、弁護士個人の問題ではなく、所属する弁護士事務所の問題。弁護士事務所に所属する場合には、それまでに就任していた企業の取締役からは、退任するという自主ルールがあるくらいです。
2.知財保護
中国が知財保護強化に乗り出し。訴訟増加、賠償額の引き上げの動き。
防御だけでなく、権利行使も必要になるか。
経済産業省は、特許など取得に相談窓口設置。
そして、3つ目は、
3.証拠保全のためメール監視
企業活動の国際化は、日本国外での訴訟に巻き込まれ、現地の訴訟に巻き込まれることを増やします。電子メールなども証拠として採用されますが、重要なあるいは不利な内容のメールを削除してしまったりすると、”証拠隠滅”と認定され、制裁対象になる場合があるということです。
特に、米国の場合、以下の記事に紹介している「ディスカバリ」という方式の訴訟があります。
クラウド時代。
サーバーを自社に所有せず、外部をサービスを利用することが主流とされていますが、この訴訟対策に関しては、さらなる追加投資が必要となる可能性があります。
例えば、外部サービスでの事故があり、メールが消えてしまう場合があります。数年前のファーストサーバーのデータ消失事件は記憶に新しいところ。
その他にも、大きな報道はされないならが、サーバーのデータ消失、一部消失の事故はおきています。これらの事故から、データを守るのは、最終的にはサービス業者ではなく、自社の責任となってきます。
日本の大手企業では、メールを社名やキーワードで法的に問題になりそうな記述を抽出し、証拠保全しておく仕組みを入れ対応しているとのこと。
米国は2015年に連邦民事訴訟規則を改正し、証拠開示に伴う費用負担と得られる利益のバランスが取れないものは開示しなくてよいとされました。(立証は自分でする必要があり)
せっかくクラウド化してコスト削減に成功したのにまた元の木阿弥になってしまうのでしょうか。