【読書感想】20161226 初めて読めたハルキ
珍しい話なのかそうでないのかは、はっきりしない、しかし、実際にそうであるのだから仕方がないのだが、私はムラカミハルキが苦手だ。正確にはムラカミハルキの小説が苦手なのだが、どれくらい苦手かというと、もうすぐ還暦に近いのにまだ一度もハルキの小説はおろか随筆や短編ですら読んだことがないのだ。いや正確には読もうとして買ったりもしたのだが一度も読み終えたことがないばかりか通勤電車の中や休日のベッドや旅行中の列車や出張時の飛行機の中でさえも最初の数ページで閉じてしまっていたのだ。
* * *
そうなんです。
私は、これまで村上春樹氏の本を読み終えたことがないのです。その理由はよくわからないのですが、多分、第一段落に書いたような文体(意図して書いてみました。もしかすると似ていないかもしれませんが)を読むと無性にムズムズするというか、居心地が悪いというか、なにか嫌な気分になりそうな予感がしてしまい、そこで、本を閉じてしまっていました。
決して本を読まないわけではありません。寧ろ、読むほうに属するのではないかと自負するくらいで、自宅にも、事務所にも、読み終えた文庫やハードカバーが山積みになっています。
村上春樹は、毎度ノーベル文学賞候補になるのですから、本好きとしては読まない理由はないのですが、なぜか、ほんとになぜか、今まで読み終えたことがなく、いつのまにか買わなくなってしまいました。
最近、海外出張時の機内で読む本を物色しているとき、濱嘉之の新刊「ゴーストマネー」の隣に置いてある本のタイトルが眼にとまりました。
「女のいない男たち」
まさに自分だなと思ってそれも一緒に手に取ってレジで会計してバッグにしまい、搭乗。離陸して軽食を食べて本を読もうと引っ張り出して改めて表紙を見ると、なんともはや。。。
村上春樹じゃないですか。。。
これはまいった。。。
濱嘉之のほうは預けたトランクにいれてあります。
今まで一度も読み終えたことのない村上春樹の本ですから、もうそのままインオペ。ならぬカバンに戻し、映画を見て、仕事の資料を見て、一眠りして、時計を見ると、到着までまだあと6時間。。。しかしなぜか眠れなくて、航路Mapをボンヤリ見ていましたが、流石に飽きてしまい、もう一度カバンを開けて、村上春樹を取り出しました。
もうこんな状態なら読めるのではないか。いや読めないことを確認するのも一興だ。
この本は彼女や配偶者などに去られてしまった男を描いた短編集です。
最初は、「ドライブマイカー」。次は「イエスタデイ」。両方ともビートルズの曲名です。そういえば、「ノルウェーの森」という作品もビートルズの曲名ですね。あれも読み始めて挫折しています。短編は、「独立器官」「シェラザード」「木野」と続き、そして表題作「女のいない男たち」へ。
読む前は、これらも一緒かな。。と思ったら、意外にもいつもの文体の不快感がなくなっている。。。文体は心なしか変わっているのでしょうか?いや。そんなことはないようです。どうやら私の感じ方が変わったのかもしれません。
短編集はあっというまに読み終わりました。
記念!村上春樹。初めて読了。
読後感としては、あまり印象的に残っているわけではないようです。ただ、”女に去られた男”という自分に重ねた題名効果かもしれません。
まだ、飛行機は、着陸を待って空港上空を旋回しています。
これを機に村上春樹を触ってみようかとも思います。