半蔵門御散歩雑談/ODR Pickups

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、台湾たまにロードレーサーの話題など、半蔵門やたまプラーザ付近を歩きながら雑談するように。

”ODR”といわなくても「ODR」になる(1440)

”ODR”といわなくても「ODR」になる(1440)【半蔵門ビジネス雑談】20190301

 

年初の出張で、スウェーデンの国家消費者紛争解決センター(National Board of Consumer Dispute)に訪問した際に、説明されたオンラインによる消費者紛争解決パネル。

www.government.se

ここでは、消費者からの電子商取引に限らない紛争をオンラインで扱っている。相手方となる事業者もオンライン経由で参加し、口頭での申し立てや説明は受け付けて居ない。審理は、専門家や消費者団体、事業者団体の代表者などからなる「パネル」で行われる(パネル自体はオンラインには限らないようだが)。そして、結論が出てその内容がこれもオンラインで伝えられたあと、双方がそれに従ったかどうかも登録された内容をオンラインで確認できる。

「パネル」のコストは主に人件費でやはりそれなりにかかるので、紛争額の下限は設定されているが、オンラインを駆使することで、コスト削減とスピードアップを図れている。注目したのは、彼らはODRとは呼んでおらず、EUでのODR規則が出る前から、これらを実施しているそうだ。(ODRといってしまうと規則の制約を受けるからなのかも)

「パネル」のメンバーがオンラインで意見を出すとか、TV会議を行うようにすれば、もうODRといっても差し支えないと考えられる。

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ODRというワードにこだわらず、通常の効率化、高度化、省力化、利便性向上などの観点で進めれば、オンライン化、IT化が実現できていくよい例としてご紹介しておく。

 

さらに感想として、上記は、”普通に効率化IT化を進めるとこうなる”例だが、では、ODR、AIなどを見据えてどうしていくべきかということを考えると、

「入り口のeFiling、申し立てのフォームなどをいかに工夫するか」

ということになるということ。紛争解決事業者から見ると、差別化のポイントでもあり、標準化のポイントでもある。

 

最初に

「お困りですね。どうしたんですか?」

と聞き始めるのではなく、相談者、申し立て者のプロファイルや紛争の分野、などを聞いていく段階で、絞り込んで入力していけるように、メニューや選択肢などを整備し、憤り興奮しがちな相談者、申し立て者から、紛争の内容を整理して聞き出していけるようにすることが、最大のポイントのように思える。これは、紛争の入り口を最初から4種類に絞り込んでしまったeBayの例を見てみるとわかる。

 

それはまた紛争データの蓄積と活用にもつながっていく。

将来のAI的な機能を持たせる際にも、整理された紛争の内容をもとに、蓄積されてきたデータ、ノウハウから、適切な1次回答を導き出したり、対話から相談者、申し立て者の紛争を整理してあげる手伝いをすること、最終的には効率的に解決策を導き出せるための機能を充実していく第一歩になるのだと考える。

 

(はてな 1440記事)