運び屋【読書/映画感想】20191228
クリントイーストウッド主演監督作品。
(あらすじ)
花を造る仕事に没頭し家族をないがしろにしてきた男。娘とも十数年口を聞いてもらえず、妻にも許されない八十代。農園も差し押さえられ仕事を探すとやばいものの運び屋の仕事。1回で2万ドルの稼ぎ。十数回続けて農園を取り戻し、退役軍人クラブを再開させたが、家族からは相変わらず許されなかった。運び屋「タタ」として評判は高く、大きな仕事を手がける。しかしその運搬途中に妻が倒れ駆けつけて看護をして心を取り戻すことができる。戻ると手酷く暴行を受けるが許されまた運び屋に復帰するが、追い続けてきた刑事の手によって逮捕される。裁判でも有罪だと認め収監されまた花を育てるのだった。
家族を守るために仕事に没頭するのが男だ。しかし、それにより家族から家族をないがしろにするという避難を受けることはよくありそうだ。我々の父の世代は特にそうではないだろうか。
追いかける刑事もまた仕事に没頭して家族の記念日を忘れてしまった。双方ともそれと知らず、隣に座ったタタは、「家族は大事だ。俺はそれで失敗した」とアドバイスをする。
クリントイーストウッドの別作品「グラン・トリノ」では、
チンピラにも迫力で立ち向かうじいさんだったが、今回の作品では、悪い組織の手先としてひょうひょうと仕事をこなしていくが、どちらも、アメリカの成長を支えてきた男の老齢期の生き様を描いている。
グラン・トリノでは、蜂の巣にされて撃ち殺されて(死)しまう。
運び屋では、投獄生活を送る。(犯罪、牢獄)
もちろん、大金持ちになるやつもいれば、(政治家、資産家、事業成功者etc)ごく普通の生活(その他大部分)を送っているやつもいる。それでも大方の人生はこの4類型に収まってくるのだ。
これらの類型は、人それぞれ、生い立ちや才能、努力や運によっても違ってくる。共通するのは、家族だ。生まれてきたのは親を含めて家族があったから。そして自分も家族を形成し、子孫を残す。誰にも得られるからないがしろにしてしまうのかもしれない。しかし、家族こそ誰とも比較できない唯一無二の存在。クリントイーストウッドは、それを伝えている。