記憶にございません【読書/映画感想】20200217
観たい映画だった。でも、映画館で見るほどでもない。そこで、インドネシア出張の機内で鑑賞。
支持率2%。史上最低の首相は、演説中に飛んできた石が頭にあたり記憶喪失になるが、それによってしがらみから解き放たれ正直に政策を実施していく。実務を牛耳る官房長官との駆け引きを制しアメリカ大統領からの信頼も勝ち取って国民のためになる政治を実行していく。。。ことができるのか。
キャストの意外性がすごい。
ローリー、ジャルジャル、有働由美子は気がつかなかった。
喜劇の安定感。中井貴一、ディーンフジオカ、小池栄子は期待通りの演技で笑えるし安心してみられる。草刈正雄は、ずーっとハンサムでコミカルな演技もよくて、凄みもある。佐藤浩市はこういうチンピラのほうがぴったりきてしまう。
誰しもがしがらみ(柵)の中で生きている。ビジネスでも政治でも、経済的社会的利害と接していればなんらかのしがらみがあるだろう。しがらみを断とうと山に逃れて自然とだけ接しているという人でも、自然とのしがらみがある。直接的に邪魔をする柵だけでなく、川の魚を取り尽くせば明日以降魚が取れなくなる。これだって自然とのしがらみの一つだ。
しがらみを忘れて決断し行動したほうがいいことはたくさんあるが、しがらみからは逃れられない。そして人は急には変われない。急に変わるためには、しがらみから抜け出すためには、そのためには、頭に石が当たって記憶喪失になるしかないのかもしれない。
しがらみを断つというが、しがらみは断てるのか?本当に断ったほうがいいのだろうか?
ディズニー映画「王様とつるぎ」で、魔術師マーリンに魚に変えられてしまう主人公が歌う。
「左と右が世界を回す、昼と夜が世界を回す、上下あるなら四角も丸もある、進め止まれ世界を回す〜」
左なのは右があるからで、ある時左のあなたはあなたの左にいる人からみれば右に立っている。この世は相対的。自分が定義できるのは何かとの関係においてだ。しがらみを断つことは、自分の位置を失うということにもなる。
迷ったなら、自分の位置がわからなくなったら、絶対値を探すのではなく、誰かとの何かとの関係を探すのだ。そうすれば、自分の位置がわかる。この世は相対的なのだ。
とまって進んで、とまれば進んでいる状態がわかり、進めば止まっている状態が相対的にわかる。
それでうまくいく。
しがらみの中でこそ。