日本全国、皆「てぇへんだ!」【御散歩雑談】20200325
時代劇「銭形平次」好きだったな。物語の冒頭は、たいてい、八五郎が血相を変えて平次親分のところへ駆け込んでくる。
八五郎「親分、てぇへんだ、てぇへんだ!!」
平次親分「なんでぇ、八、騒々しいぜぇ。」
八「何のんびりしてるんですかい。てぇへんなんですよ。」
平次「おめぇのてぇへんは聞き飽きたよっ。」
こういう八五郎的なおじさん、おばさんは周囲にもいた。どこそこで火事があった、とか、誰それが転んだとか、病気らしい、とか、ママ母が子供に意地悪するらしいとか、誰かの不幸は蜜の味的な話題。
ところで、最近はSNSに、様々な立場から様々な投稿が溢れている。
マスコミニュースもネットのほうが最新情報が詳細に見られる。そのニュースに対しての反応もコメントがどんどんつく。いわゆる炎上ニュースもよく見かける。個人のコメントが炎上することもある。
政府の答弁、国会中継もネットに記事が出る。官房長官談話もネットで出てくる。
政治家もブログを持ち、国会の発言よりブログでの発言のほうが多い議員もいるのではなかろうか。
そうした発信された情報を引用して再発信する人もこれまた数多い。そして再発信する情報は、事件、事故、批判、暴露、紛争、不倫、不和。一般人の事件も多いが、政府批判、公的機関の不祥事や事故のほうが、注目が集まりやすく、賞賛でなく非難、批判のほうが話題になりやすい。既存マスコミも取り上げる傾向にある。
そういう流れで、「てぇへんだ」的記事が多くなる。
やれ、誰それが失言した
それ、伝染病の対応を間違えた
ほれ、景気減速の原因だ、それを隠蔽した〜、国際批判を浴びている〜
アメリカの言いなりだ〜、ロシアの対応は誤りだ〜、
オリンピックは失敗するだろう〜etc. etc. etc...
そういう記事が読みたくなくてもやたらと流れてくる。読まなければいいというだろうが、流れてくる。
八五郎「親分、てぇへんだ、てぇへんだ!!」
平次親分「なんでぇ、八、騒々しいぜぇ。」
八「何のんびりしてるんですかい。てぇへんなんですよ。」
平次「おめぇのてぇへんは聞き飽きたよっ。」
ほんとにもう聞き飽きてきた。
この現代版八五郎さんたちは、一部には、アクセスが増えて広告料を稼ぎたいという人もいるだろうが、多くは、
- 正しいことを伝えなければ、
- 多くの人に真実を、
- 自分の一次情報を早くみんなに、
という思いからやっているのだろう。いいことではある。
いいことではあるものの、それらをさらに拡散していく八五郎2号、3号がさらに大勢いる。同じく正義のため、広告料稼ぎのために増幅していく。
仮に正義のためであり、正しいことを拡散するためであり、真実を白日にさらすことが目的であったとしても、現場の当事者たちも、不真面目にやっているわけではなく、専門家もいて、その現場の優先順位を踏まえて実施策をとっている。そうしたことも確認しないで、短絡的に指摘発信拡散することによる、混乱や短絡的な外部への誤解の拡散、そう、正義の拡散は誤解の拡散でもある場合がある。それは、「本当に良い結果を生み出すのかということの考慮もなし」に行うのは、適切な行為とは思えない。
「てぇへんだ!」は別の「てぇへんだ!」を生み出し、
「おめぇのてぇへんは聞き飽きたよっ。」へも繋がっていく。