幻滅の錯覚【御散歩雑談】20241204
これは梶井基次郎の著作「檸檬」の中に登場する表現である。苦戦した小学校の高い鉄棒が大人になってから訪れると「こんなに低かったか?」と感じるアレだ。中学生の時に授業で読んだ本だが、この現象はいつまで経っても頻繁に登場する感覚で著者の感性、そして、この本を授業で紹介した国語教師にも感心する。
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故郷に帰ると、あんなに長くキツかった坂が思ったより短くなだらかだったり、広大な公園のグラウンドが随分とちんまりしていたなどの体験は今だに其処彼処で遭遇する幻滅の錯覚である。
先日、犬の散歩中にイヤホンで聴いていたハードロックDeep Purple、リアルタイムで聴いていた世代だが、あんなに”ハード”だったHighway Starがそうでもなく聴こえてしまいちょっとショックを受けた。Woman from Tokyoはなかなかポップないい曲に聴こえてくる。あんなにエキセントリックに聴こえたリッチー・ブラックモアのギターソロもなかなか聴きやすい美しいフレーズのように感じる。
ハードロック版幻滅の錯覚。
いや決して幻滅はしていないのだけれど。