【半蔵門ビジネストーク】20170721 螺旋階段のように
例えば、IT業界。
大きなマシンを借用して使用
私が新入社員として社会人となったIT企業は、多くの仕事を汎用機のメーカーに依存していた。PCやスマホ時代の現在とは異なり、コンピュータのメモリは高価で、コンピュータ自体も大型で、多くの電力を使用し、発熱量も多く、ダウンすると再稼働させるまでに手間も時間もかかり、結果として、安定した空調と電力供給のできる室内におくしかなかった。結果として、各企業に1台ではなく、一台の大型汎用機を、タイムシェアリングといって時間で分散して使用する方式が主流であったのだ。例えば、冒頭の会社は、電気メーカーの汎用機マシンの使用時間を何月何日の何時から何時まで確保し、その時間になると構内にある端末機からログインして、CPUとメモリを借りて使用していた。やがて、メモリや半導体が量産と技術進歩によって低価格になってくると、マシンも小型化し、結果各企業が所有できるようになってきた。
しかしまだメーカーの呪縛があった
ところが、コンピュータ本体を購入すると、その上で動作するソフトウェアが必要だが、どのメーカーでもそのメーカー製あるいは指定したソフトウェアしか動作しない仕組みが主流だった。例えば、メーカーAの計算システムが素晴らしいので使いたいと思っても、所有しているのがB社のコンピュータの場合は動作しない。コンピュータ自体を買い換えるにはコストがかかりすぎ、同じメーカーの製品を使うしかなかった。
PCの普及とオープン化、ダウンサイジング
やがてPCが開発され1人1台の時代となり、小さなコンピュータでも高速な処理ができるようになり、機器全体が小さくなり、一気に普及が広がった。同時に、ソフトウェアが中心的に選択されるようになり、どのコンピュータでも同じソフトウェアが動作できるようになるべきだという考えが広がって、現在のPCやスマホのように、アプリが使用の中心となっていく。
ホスト型からクライアントサーバー型へ
PC性能があがり普及すると、ホスト側に頼っていた演算をPC側で行うほうが効率がよいとクライアントーサーバー型のシステムが普及し始めた。ホストはサーバーとなり、データだけを保持する方式になっていった。
Saasの登場
しかし、あまりにクライアント側PCへの負荷が進むと、今度は共通の部分はサーバーにあったほうがいいのではという考えになっていく。共有できる部分は、Saasなどの方式で、共有する仕組みになっていった。
クラウド化
そしていまやクラウドだ。手元のPCにも情報はあるが、取り替えても、違うPCを使用しても、PCとスマホを交代に使用しても、同じデータや個人属性を共用できるクラウドの時代となった。
さて。。。
その昔、中央にある大型のコンピュータ資源をみんなで使っていたが、それを分散させた。のに?また、クラウドで雲にたとえられる大型のコンピュータ資源を、みんなで共有しているように使う形態に戻ってきた。
似て非なるものだともいえるかもしれないが、みんなで共用するという考えがまた採用されなおしたということだ。
まるで、螺旋階段をまわっているようだ。
さて。
我々は上に登っているのだろうか?あるいは下に降りているのだろうか?