国境の銃弾(濱義之)【読書/映画感想】20191003
新シリーズ。青山望の同期カルテットがそれぞれの道に分かれたあと、次代を担うべくFBI捜査官経験を持ち、傭兵としてウクライナで実戦を戦ってきた頭脳派の公安マン 片野坂彰のチームが、対馬で起きた三人同時1発の弾丸で狙撃される事件を追う。使用された銃弾はフルメタルジャケットではなく、一体型のセラミック弾丸。しかも、銃はアメリカ軍のもの、狙撃された被害者は韓国スパイ。その後、東大構内で同じく2名の国会議員が1発のセラミック弾丸で狙撃暗殺され、同一の銃と判明。チームは、東京、対馬からブリュッセルまで飛んで情報を集め、犯人像に近づいていく。
ちょうど、韓国が迷走している中で、今後の朝鮮半島の行方にヒントとなる分析が小説の随所に現れる。決して派手ではなく、情報戦とはこういうものだろうと腑に落ちる。
日本はスパイ天国だという。その意味はスパイ行為が罰せられないからで各国スパイにとってはやりやすいことこの上ないそうな。だとすれば、ユーミンの名曲「時のないホテル」のようなスパイ同士の華麗な暗躍が行われているのかというとどうなんだろう?
曲中では、電話の脇のメモにイスラエルの星が書いてあったり、広場で撃たれて蜂の巣になって死んでしまうなど、むしろ、ダメなスパイ?とも思うが、中にはREDのブルースウィリスのように、死んだことにしてさらに活動するなんてこともあるから一概には言えないか。
子供の頃雑誌の付録にスパイセットがついていると親にねだって買ってもらったが、メモを書いて水に浮かべると溶けてしまうノートなんて結局何も遊べなかったけど。それよりも、江戸川コナンが持っているボイスチェンジャー蝶ネクタイとか、パワーシューズとか、ホバーボードが欲しいものだ。目立ちすぎるか?
大韓航空機爆破事件の際、ソ連の通信を傍受してその秘密をアメリカに無防備に渡した日本の政治家がいたが、それによってソ連に周波数を変えられてしまい、せっかく掴んだ情報ラインを失った日本。情報戦のなんたるかをわかっていなかった。エニグマを解読したチューリングが最善の注意を払って解読したこと自体を機密にしてきたこととは対照的だ。秘密の存在は秘密になっていなければならない。
インサイダー情報なんて、「言わないけど情報ある」と言った時点で察する人は察するからそんな秘密があることを匂わせることもいけないのだ。
難しい。。。