ODR Pickups/半蔵門御散歩雑談

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、たまにロードレーサーの話題など、半蔵門付近を歩きながら雑談するようにリラックスしたお話中心。

Best Effort の解釈【半蔵門ビジネス雑談】20180427

Best Effort の解釈【半蔵門ビジネス雑談】20180427

 

1996年だからもう20年以上も前だ。当時初めてのイスラエル企業との開発提携契約に少し焦っていたのだろう。私だけでなく、会社としても、上場を控えてるの目玉が欲しかったのだと述懐する。

 

その開発契約は、5年間。最初の年は我々にとっては全くの投資だ。2年目以降完成した製品が市場に投入され、以降はホワイトペーパーに記載された製品の「画期的」な新機能が次々とリリースされてくる予定で、それらが日本市場で販売され大きなビジネス成果を上げていく。。。筈だった。

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受け入れ検査の条項に、その文言はあった。

 

B社の受け入れ検査に合格するまでは、

A社は、製品の問題解決に、”最大限の努力”をする。

 

最大限の努力=Best Effortという言葉だった。

 

B社の解釈

我々は、これを、製品に問題があれば、最大限の努力をして、結果として解決させる。と解釈した。なぜなら、製品に問題があれば、それは市場に出せないし、強引に市場に出したとしても、問題があれば、市場の信頼を失い、製品は売れないし、そうなれば、両社にとっても、良い結果にはならず、ビジネスは失敗するからだ。解決しなければ、受入検査不合格。つまり、購入はしないことになると解釈していた。

 

弁護士のアドバイス

弁護士は、Best effortではだめだと主張し、その言葉を外して、問題解決して検査に合格するまでA社が問題を修復する。とせよとアドバイスした。しかし、当社は、最終的に、Best effortで合意してしまい、提携関係に入ってしまった。

 

A社の思惑

ソフトウェアにはバグはつきものだ。受入検査でもバグは出るだろう。勿論、修復はする。最大限の努力をする。もし、結果として修復しない場合があっても、それは努力の結果で、期限がきたら、まずは購入してもらいたい。その資金をつかってさらに人員やリソースを投入し、いずれは問題を修復し、市場に投入できる製品を納入する。

しかし、受入検査でBest effortはしたのだから、契約に従って年間コミットメントの支払いはしてもらうということだ。

結果として、多少の遅れは生じたとしても、製品は市場に投入できる筈だ。

 

Best Effortなら基準を明確化すべきだった

実際に発生したのは、非常にシリアスなバグで、あるパターンの動作で、softwareがWindowsの異常終了、いわゆるブルースクリーンを引き起こすものだった。これは受入検査で合格とするわけには行かず、A社は、入金を得られなくなり、B社は市場へ投入できる製品を得られず、両者の関係は破綻してしまい、訴訟になってしまったのだ。

契約書に、Best Effortとしてしまったことが失敗だった。本来は、検査での合格をMustとすべきであった。しかし、A社としては、いつまでも合格できず入金を得られないことは避けたい。だからこそのBest Effortへのこだわりだったのだ。だから、Best Effortとするならば、受け入れ検査での合格レベルを明確に定義すべきだった。

 

この判断ミスの結末は、KIndleで出版されている。