【ODRピックアップ】20150318 秘密は”秘密”じゃないと秘密じゃない?
営業秘密の管理を強化する必要があります。特に日本は不正競争防止法で損害賠償請求や刑事罰があるものの、企業の秘密の不正取得や利用への罰則が、米国などに比べると軽いため、海外の競争相手に秘密が流出する問題が相次ぎました。(新日鉄や東芝)経済産業省は、罰則強化した改正法案を提出しています。
当社でもお客様を始めとする取引先とは、秘密保持契約(NDA)を必ず締結していますが、意外な落とし穴になるのが、”営業秘密の指定”です。営業秘密として企業の情報が保護されるためには、次の3要件が満たされている必要があります。
1)秘密として管理されていること
アクセス権付きのファイルとして保存されているとか
2)事業活動に有用な情報である
経費節減に役立つだとか
3)公然とは知られていないこと
刊行物やHP、配布資料などに掲載されていないこと
(日経新聞 2015年3月16日 朝刊 営業秘密、企業が自衛強化より)
実際の契約書の記載は、こんな感じ。
第1条 (秘密情報等)
1. 本契約の対象とする情報は、対象業務を含む甲乙間の過去、現在及び未来の一切の取引(以下、「本件業務」という)によって、甲が知り、又は将来知ることが可能となる、秘密情報及び個人情報(以下、秘密情報等という)のうち、文書あるいは口頭で秘密と明示された情報とする。
これは、”これは秘密だからね”と示されていないといけないよといっているわけですが、実はいちいち明示するのは面倒くさいと思ってしまうようで、契約交渉時に以下のような変更要望をされることがあります。
第1条 (秘密情報等)
1. 本契約の対象とする情報は、対象業務を含む甲乙間の過去、現在及び未来の一切の取引(以下、「本件業務」という)によって、甲が知り、又は将来知ることが可能となる、全ての秘密情報及び個人情報(以下、秘密情報等という)とする。
しかし、これだとなにが秘密情報か明確でないため、「具体性をかく表現にとどまっており、訴訟になった場合に会社が不利になる可能性」(日経新聞 2015年3月16日 朝刊 営業秘密、企業が自衛強化より)があるのです。
でも、”これは秘密だよ”といわないほうがいいような気もしてしまう。
ドラマでは、そんな風にして秘密を隠す場合がよくでてきますもの。