【ODRピックアップ】20150520 第12回ODR FORUM @ モントリオール(メモリアル)
2012年の同じ時期。プラハで開催される第11回ODR FORUMへの参加を控えた6月15日に緊急入院。ベッドで意識を戻して最初にしたことが、飛行機の予約とプラハのホテルのキャンセルでした。命を落とす寸前だったのに、連絡が来たので関係者も、まさかそんな状態とは思っていなかったようで、なんと律儀だったのでしょう。。。
1年後にモントリオールで開催された第12回ODR FORUMで再会した人たちとの最初の会話はその実況中継。皆驚くと同時に「体に気をつけてくれ」といたわりの言葉をもらいましたが、なんだすごく年寄りになった気分。確かに、FORUMの出席者は若者が多くて年上のほうではありますが。。。
さて、2013年のODR FORUMは、2008年のブリティッシュコロンビアに続いて2回目。東側のモントリオールで開催されました。
このFORUMは、2002年にジュネーブで開催されたのを最初に、既に12回目を数えます。今回も、カナダ、米国、アルゼンチン、日本、中国、フィンランド、オランダ、フランス、スペイン、チェコ、サウジアラビア、ロシアなど各地域より研究者や実務家が集合し、最新のODRに関する情報交換と人的交流を行ないました。
http://odr2013.org/?page_id=64
プログラムでは、
一番活用が進んでいる電子商取引での紛争解決手段としてのODRに関して、国連の作業グループ3で議論されている共通手順の状況とEU域内で進んでいる法律整備についての発表から始まり、 発展途上国での普及が急速に進んだ携帯やスマートフォンを使用してのODR、さらには、ODRの副作用と題して既存のADRへの影響あるいは、デジタル世代の法律家たちへの期待、そして、電子商取引の次にどうなるかという話題では、評判管理とODRの可能性が発表されました。
当社は、前回出席できなかったものの、発表枠に立教大学の早川教授が出席して、越境紛争解決の事例と統計を提示していたので、コメンテーターという役割をいただき、各発表への批評コメントを述べました。それでも、年間2000件の紛争を受け付ける消費者庁越境消費者センターの統計データは興味を集め、休憩中は殆ど休みなく、誰かと話をしている状態。声が枯れました。
ODR FORUMは、例年大学が中心となって運営されます。地元の大学生が調査結果や体験を発表する場があり、今回も将来のODRをテーマに新鮮な視点からの議論が交わされました。更に、ビジネスとしてのODRの観点から、ご近所紛争への適用例についてオランダからの新参加者が力のこもったプレゼンテーション。そして、当社も参加しているODR間の連携を模索するODRExchangeの代表は、新しく投資家を得てスタートダッシュを計るようです。日本はこの点まだまだですので羨ましい限り。
続いては、信頼と執行力。考え方としては、ODRというよりADRの電子化と考えていけばよいのではないかというのが大まかの意見です。
北米大陸で横に広がり時差が3時間のカナダでは、移動するにも飛行機で数時間かかります。更に北部は雪に閉ざされる期間も多く、移動して紛争解決を行なうことが困難な場合が非常に多いため随分前からオンラインによる紛争解決が導入されてきました。
今回の会場となったモントリオール大学には、Cyberjustice laboratoryと呼ばれる施設があります。超大型のスクリーンには、資料や遠隔地からの証言者が表示され、また、証人や当事者、弁護士の席にはモニタが設置され、証言の速記が逐次表示されてくるようになっています。教室ですので傍聴席の位置には座席がありますが、双方が合意すれば、実際に使用できるそうです。
会議の最後のカクテルパーティ中に、何人かの幹部スタッフが、来年日本で開催できないか?と打診してきました。しかし、残念ながら日本でのODRは推進パワーが少ない。それは資金がない事も意味します。それでも、「大学教授にメールをしてみる」と引き下がらないので、「やってみて」とはいってみましたが。。。
そして2014年のパロアルト(スタンフォード大学)での開催に続いていきました。
さらに2015年は今度は米国東海岸ニューヨークです。
今年はセッションを一つ受け持っています。