【ODRピックアップ】20150831 しんがり
山一証券の破綻は、昭和世代としては衝撃的でした。大企業がつぶれる?その応えがイエスだということがそれまでの常識的な理解を覆し、殆どの平均的な考えの日本人の生涯設計を考え直すきっかけになったのではないかと考えます。
WOWOWで全6話に渡って放送される「しんがり」は、”負け戦で最後列で敵を迎え撃つ者達”のこと。もしかすると大逆転がある?いや、そんなのはフィクションのドラマの中でのこと。戦では、おそらく生き残ることはなく、生き残っても捕虜になる運命。企業の場合なら、その先には、企業や事業がなくなり、自分の生きる次の道を早く探したほうがいいに決まっています。ドラマでは、それでも最後まで清算処理を続けた人達が描かれるそうです。放映が待ち遠しい。
なぜかというと、実は私も企業での2回のしんがりを務めたことがあるからです。
1度目は、携わった事業での海外提携先が倒産し、倒産の原因として訴えられたため、担当した役員は辞職し、訴訟での企業側証人として足掛け8年訴訟に関わり、後処理を行いました。訴訟開始時に当時の社長が地方拠点の支社長のポストを用意しようとしてくれましたが、私がそれを受けると、今度は部下が矢面にたつことになります。流石にそれは潔しと思わず、「しんがり」を務めることになりました。負けたら20億。途中実際に死の危険も感じましたがなんとか勝利したものの、業務に戻ったらポストはなく、かつての部下の部下になりました。
※海外企業との訴訟はKindleで発売中。
【ODRピックアップ】20150311 [PRです] Kindle 弁護士は教えてくれない(~海外企業との20億円訴訟勝利までのドキュメント~) - ODR Pickups/
2度目は、買収したベンチャーの取締役として派遣され、結果、そのベンチャーを本社が吸収することになり、廃業の手続を担当役員として務め、オフィスの最後のゴミの山の中で、代表清算人として、口座を閉め登記を抹消するまで。これまた、戻ったらポストはなさそうだったので、現在の会社を始めたのです。
ドラマでもそうですが、どうも日本ではこうした「しんがり」が美化されやすい。身を犠牲にしてみんなのためにつくす。確かに美しいかもしれない。でも敗戦処理。恐らく報われない。そのあとの復帰までの間さらにつらい日々があるかもしれません。尊敬は集めるかも。でも、そのあとどうする?周囲の仲間は?家族は?そういう意味では周囲にとってはいい迷惑かも?自己満足って言われるかもしれません。いや。言われます。言われました。
日本では歴史的に怨霊信仰があり、皆殺しを避けてきた傾向にあった(織田信長は例外)と思います。そのため「しんがり」は、 生き残りむしろ英雄として 尊敬を集めてきた面があります。お家を守るためならさっさと逃げて別の場所で再生すればいいのに、 そこにとどまることの方が御家再興に繋がったのでしょうか。
しんがりを務める美しさと潔さ。
さっさと次へ行く潔さと合理性。
生き様にもつながるのでしょうか。実はまだ答えが見つかりません。