コンサルタントのジレンマ【半蔵門ビジネス雑談】20180906
10数年前に、ある大学のIT化プロジェクトで顧問として関わったことがあった。学園長への提案で、まさに契約の時に、学園長が尋ねた。
いらなくなることが成功
「あなたにコンサルティングをお願いしたい。ところで、あなたのコンサルティングが成功した状態というのはどういう状態なのか?」
すでに、プロセスや目的、報告の方法やら提案書に書いてあり、説明もした後だったので、質問はそれ以外の主旨だ。私は答えた。
「契約が終了する3年後に、私がいなくてもIT化の業務が滞りなくまわっていることです」
「なるほど。納得性が高く、良心的だね。よろしくお願いします。」
このプロジェクトは、予定通り3年で完了し、無事にIT化の機運と組織的な仕組みも出来上がった。その後のコンサルティングでも同じ発想で関わっていくようになった。すなわち。
コンサルティングの成功は、最後に自分がいらなくなることだ。
ビジネスとしてはいただけない
しかし、これはビジネスとしてみると良し悪し。ここ10年請け負っているコンサルティングは、同じように数年の見込みだったが、なかなかうまくいかない面もあり、長続き(?)しており、売上高としては最高だ。
2〜3年で終了したコンサルティングでは売り上げは少しだけで、良い点は次の案件に移れることくらい。
コンサルティングをビジネスにしている以上、売り上げが評価ともいえるので、長く続かないのは、失敗しているともいえなくはない。
しかし、某大学の学園長との会話にあったように
「あなたへのコンサルティングをお願いしたい。ところで、あなたのコンサルティングが成功した状態というのはどういう状態なのか?」
「契約が終了する3年後に、私がいなくてもIT化の業務が滞りなくまわっていることです」
美しさからすればこうありたいものだ。
あるべきを保ちながら
このジレンマを抜けてコンサルティングの成果とビジネスの継続を両立させていくのは、新しい自分のニーズを発掘していくだけだ。