”失敗しないように”では成功できない【たまプラビジネス余談放談】20230126
改めて思う。諸悪の根源は「なにかあったらどうすんだ症候群」(オリンピック選手 為末大氏)だ。
「地域のデジタル街づくり、7割成果なし」の記事を見る。
www.nikkei.com2012年〜2014年度に、ICT街づくり推進事業が42件で行われ35億が投じられたがそのうちの7割は成果なしと報告されている。主体となった地方自治体の反省は、企業だのみの丸投げにあると自己分析した。
デジタル街づくりは恐らくいやほぼ確実にどの自治体にとっても初めてのことだ。経験もない。しかし進めなければならない。経験がない=経験者はいない、育成の時間もない、となれば実務の重心は専門家を要する(はずの)企業に投げられる傾向となる。外部委託。さあ、どの企業に委託したらよいのか。一方企業側にとっても経験もまだ少ないはず。確実なパーフェクト、お任せください宣言はできない。たとえスキルのある実力ある企業だったとしても「失敗しないので」は宣言できない。となれば選定側としても、「なんでその企業に委託したのか」の理由が、担当者にとっては死活問題。小さいけれど無名だけれど選定する理由は誰にも確実にはできない。となれば、”失敗しないように”歴史ある大手企業に選んでおけば傷はつかない。大手企業とて初めての分野だ。”あの大手でもダメならしゃーない”?お互い傷がつかないようにハードルは低くなる。「なにかあったらどーすんだ?」を誰もが避けた。その結果だ。そしてその理由は、「なにかあったら、どーすんだ?お前の責任だからな」という空気。
これを打破しなければ。
そうかと言って答えを持っているわけではない。何かいえば「なにかあったらどーすんだ」の矛先が向かってくる。しかしこれだけは言える。
”失敗しないように”では成功できない。
自治体は、丸投げにならない優秀なデジタル人材を育成する取り組み、ノウハウを自治体に蓄積する取り組みを行う方向に気がついている。
微かな期待は、こういう記事が出てくるようになったこと。「なにかあったらどうすんだ症候群」への指摘。そこからの脱却。地方のデジタル街作りの失敗の反省。予算消化と失敗しないようにばかりではない本質的な自治体自身の変革が必要だということ。
空気は変わりつつあるように感じる。