半蔵門御散歩雑談/ODR Pickups

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、台湾たまにロードレーサーの話題など、半蔵門やたまプラーザ付近を歩きながら雑談するように。

紛争でしたら八田まで(14) アメリカ砂漠、サウジアラビア、英国

紛争でしたら八田まで(14) アメリカ砂漠、サウジアラビア、英国【読書/映画感想】20240102

 

地政学と知性そしてプロレス技で警察が介入しにくい紛争を落とし所をみつけ解決する、地政学リスクコンサルタントの八田百合が、親友オクサナの依頼によりアメリカで開催されている砂漠のレース・バーニングマンに潜入、「警察が取り締まらない、軍隊が戦わなくていい、それで平和を保てる社会を目指す」シードに迫り、女性開放をアイドルと絡めてイベント化目指しサウジアラビアを走り、そしてサッカーに絡んだ人種対立の英国へ飛ぶ第14巻。

 

バーニングマンは実在のイベントだ。

 

www.vogue.co.jp

毎年8月の最終月曜日から9月の第一月曜日まで、アメリカのネバダ州のブラックロック砂漠で開催されるフェス、バーニングマン(Burning Man)。世界中から集まった“バーナー”と呼ばれる7~8万人の参加者は、何もない砂漠に架空都市、ブラックロックシティを建設し、自給自足の生活を送りながら音楽やアートや自己表現を楽しむ。(下記リンク内より)

また、バーニングマンには

「どんな者をも受け入れる共同体である」(Radical Inclusion)、

「与えることを喜びとする」(Gifting)、

「商業主義とは決別する」(Decommodification)、

「他人の力をあてにしない」(Radical Self-reliance)、

「本来のあなたを表現する」(Radical Self-expression)、

「隣人と協力する」(Communal Effort)、

「法に従い、市民としての責任を果たす」(Civic Responsibility)、

「跡は何も残さない」(Leaving No Trace)、

「積極的に社会に参加する」(Participation)、

「“いま”を全力で生きる」(Immediacy)

 

という十カ条の根本理念があり、アートが中心のように見えるが、基本は何をしても自由で、「紛争でしたら〜(14)」にあるシーンが想像できるのは、「ただただ会話するキャンプ」などだろうか。過ごし方は自由ともされているので、レースをしているケースもあるのかもしれん。それにしても自由のなんと過酷なことか。

現在の世の中、周囲には許可を求めたがる人が多い。〜していいですか?〜してはいけないんでしょうか?しまいには、〜できますか?と聞いてくる。その許可は誰に求めているのか?立ち入り禁止、遊泳禁止とか明確に書かれているのならまだしも、パソコンの画面の前で、このボタンを押してもいいですか?と聞く人がいる。まずは押してみようとは思わず、許可を得てから行動する。そしてなにかが起きたら「押していいっていったじゃないか」と人のせいにして憤慨する。最終的にはここで息を吸っていいか?とかも聞いてきそうだ。

2話目のサウジの話は、イスラム法典にキツく規制された女性の行動が変わっていく話だ。法典は守らなくてはいけないというのは宗教的なことで一種の法律的なことだから〜してもいいのか?と聞く社会になるのかもしれないが、それを壊すのではなく、突き抜けていく兆し、イベントの開催責任者がつぶやく「(法学者の確認が必要だが)個人的には見たいと思う」という自由の一番基本的な衝動には抗えない。

 

紛争の質は、領土や利権から、次の段階に向かう。