紛争でしたら八田まで(9)【読書/映画感想】20220517
地政学のノウハウと紛争解決のノウハウ(知性とチセイと力技=主にプロレス技)を武器に世界各地の紛争を解決に導くプロ八田百合。決して正義を追求するのではなく、落とし所を探して持続可能な解決をしていくところが素晴らしい。今回はマリの内戦とパリの上流階級とテロに走る(そうせざるを得なくなっている)移民の若者がテーマだ。ウクライナ問題にもつながる地政チセイはどう描かれるか。
もはや世界のどの国も単一民族ではいられない流れなのは確かだ。日本だって。他民族が混ざり合うと文化的な違いも現れるし、格差も現れるし、平等という主張も現れるし、違うという主張もあるし、平等の裏に隠れた潜在的な差別も現れる。それらを放置すれば争いも表面化し、果てはテロにも通じていく。思想的なテロではなく、抑圧の吐口としてのテロ、政治に利用されたテロ、それらの犠牲になる人々。その憎しみが産む憎しみと報復の連鎖。これらはどちらかに偏った正義の主張よりに解決することは難しいのは明白。八田のチセイによる解決方法、落とし所をヒントに現実的な最善策が実際にも適用できるのではないかということで、麻生太郎氏がいうようにみんなこのjシリーズは読むべきだよ。政治家も、思想家も、与党も野党も、学生も先生も、ブロガーもインスタグラマーも。
そしてもう一つブレイクダウンして考えておくこと、そのクセをつけたい。
誰も攻めてこないよ、という人もいるが、攻められることもあることが実例として現れた。地政学、地政的な考えをどう理解するか。関係する言葉をもう一歩踏みこんで考える。世界地図というが、英語ではPolitical Mapと言われているように土地の図で示した政治的な地図だ。区切りでもあるが、ということは、拡大する思想も含有されている。国境付近は文化が混ざり合い、隣国寄りの人も現れるし、その比率が多くなれば隣国支持の考えもでてくる。国境近くの巻き取り、そういう侵略の仕方もあるだろう。地域と条約、覚書を結んで、人権を守ることを理由に軍事的支援も選択肢になる。敵の敵は味方だという考えもあるし、地図をひっくり返して相手の立場からみると海洋進出に邪魔な島だという考えもわかってくる。海に囲まれた安全と思っていると、周辺の防御手薄な島に上陸して抑えるというやり方も想像できる。誰もが自分達と同じ考えではないし、自分達の考えが先進的でみんなそれを真似るはずだという思い込みも幼稚とさえ見える。
仲良くするには個人的な好き嫌いがベースにはならない場合もある。飲みニュケーションが嫌いな人だっていっぱいいるし、利害をベースに考えるのが政治家だ。 日本のようなGive and Given and Given の民族が珍しくて、Give and Takeが当たり前でもない。実はTake and Takeが基本で、自分がTakeしたから相手がやむなくGiveするというのが当たり前なのかもしれないぞ。交渉で平和を得ようとする国ほど戦いを仕掛けるのに最適な相手はいないといった独裁者もいた。今回は引くから次回はそちらが譲れよと考えても次回もそっちが引けと言われる可能性も高い。
ある国際会議で、自社のノベルティを手土産に持って行ったことがある。それを前から交流のあった某国の教授に渡したら、「万代が私に土産をくれた」と大声でPRをし始めた。それは喜びでも感謝でもなく、「万代は私に土産を捧げた」という力関係のアピールに解釈したものだった。想像もつかない。
悲しいがこれが現実なのだ。
まずはコミックからでもそのことをもう一度理解していこう。