司法のIT化は本人訴訟からやってはどうか【半蔵門ビジネス雑談】20200109
本人訴訟とは、訴訟に訴える際に、弁護士など代理人を立てないで自分自身で手続きを進めることだ。しかし、法的手続きは専門的で、なかなか進めるのは難しい。やはり弁護士など専門家に頼むしかなく、そうなると弁護士にも費用を払うことになり、訴訟で勝っても弁済されて手元に残る額も少なくなる。場合によっては弁護士費用を払って赤字になってしまう可能性だってある。結局泣き寝入り。。これはよくある構図である。
シンガポールでは、本人訴訟をしやすくするため、IT化が義務化されている。「ITに不慣れな人でも書面を裁判所に持参すれば、委託を受けた民間スタッフが書面を電子化してくれる仕組みがある」(日本大学の杉本純子教授)。電子化に伴うコストは「本人負担となっている」という。
韓国では、
「裁判所のホームページで手続きのひな型が紹介されるなど、簡単で分かりやすいシステムが構築されている」
という。
電子訴訟なら、裁判所に書面を持っていったりする手間も大幅に減らせるし、使いやすいシステムになっていれば、本人訴訟も進められる。
日本でも、「18年度に全国の地裁で審理された民事訴訟(約13万8千件)のうち、原告、被告のいずれかあるいは両方が本人訴訟だったケースが過半を占める」というのなら、ニーズに従って、本人訴訟からIT化しては?と思う。
(1)電子的な提出を認め、
(2)電子的な書面の作成への支援サービスを用意し、
(3)雛形の提供
を行へば、本人訴訟へのハードルは一段下がるだろう。ITに不慣れな人をどうするかという点は、経過措置としてこれまでのような書面を認めればよい。それを(2)のサービスで電子化すればよいのではないか。
ビジネスの課題として、本人訴訟が増えると弁護士への依頼が減るのか?もしそうだとするなら、(2)と(3)のサービスは弁護士の有料サービス、有料データとして提供すればよい。また、その後本人訴訟を断念して弁護士に依頼する人には、(2)と(3)の費用分をディスカウントするなどの対応が考えられるだろう。こうすれば、本人訴訟で対応できる訴訟は本人が行うがよいサービスや雛形を提供する弁護士には別のビジネスモデルが成立するし、より難しい事件では弁護士へ依頼が戻ってくるきっかけとなるだろう。
司法のIT化もマーケティングが重要だ。
どういう利用者像なのかを考えながらやっていくのがよいと考えている。
ちなみに12月9日に発表された制度改革の具体案に関する記事。やっぱり本人訴訟はあとからだって。
追記
ただし、オンラインの手軽さによって乱訴の原因となってはいけない。その点は注意が必要だ。