【ODRピックアップ】20151126 ものが安くなると”もったいない”が消える
ヤフオクでちょくちょく目にしていた古い(けど程度のよい)トランクをやっと適正価格で落札できました。少し煙草の匂いが残っているようですが、色あせも傷も少なく、縫製部分のほつれもなく、多分掘り出し物。今度の出張に持っていこうと、簡易キャリーも準備しました。
これをfacebookで自慢していたら友人からの書き込みで、
「昔のものはやっぱりよい」、
「革のカットや縫製が職人技」、
などのコメントをいただくと同時に、
「モノを大切にという心が消えつつ有る」という感想もあり。
手作りでしっかり造っていたものが、技術的進化により大量生産が可能となり、それによって多くの人が購入できるという恩恵をもたらし、売れることで更に生産して、それがコスト構造を下げ、
壊れたら修理するよりも、買い替えた方が安くすむ
という消費構造をもたらしたといえます。
モノを大切にするのはいいことでしょう。壊れたら修理して長く使う。愛着もわき、手にも馴染んで、味わいが出て、モノの素晴らしさ、技術の素晴らしさに出会う。手をかけた優れものは長く使えます。
「もったいない」は、我々が普通に持ち得る感覚ではあります。
ABOUT MOTTAINAI|MOTTAINAI もったいない モッタイナイ
故ワンガリ・マータイさんは、環境分野でノーベル平和賞を受賞したケニア人女性でしたが、彼女は、3R(reduce, reuse, recycle)+(地球資源への)Respectを、一言で現す”もったいない”を、世界共通語
として、広めることを提唱しました。
しかし、すべてのモノが手間のかかる生産工程が必要であれば、多くの人にその素晴らしさを享受してもらうには、生産数量の点で限界がでてしまう(故に販売するなら価格が高くなる)。だから、安定した品質のモノを沢山つくろうとするなら、自動化を進めて大量生産し、価格を下げていくことは必然。そのほうがみんなに行き渡る。(購買力に差が出る資本主義下ではそうなる。)より多くの人に”便利”が行き渡ることも重要。そして、値段が下がると、修理するより買い替えるほうが経済的となる罠。
一方、ついつい、例えば立派な空き箱を解体して捨てられずに保管してしまうとか。極端には、それによって、場所が空き箱で占められ、よりスペースが必要となってしまう。もったいないと何かをとっておくと、その他のもったいないを造ってしまうという罠。
資源を有効に使わないという別の「もったいない」を生み出してしまう。。
マータイさんのいうRespectは、資源だけでなく、人間へのRespectを根底において、みんなが便利を享受し、その便利のために消費されるものへのRespectを含む深いところにあります。