【ODRピックアップ】20160331 時間を買うのだ
前職の大手IT企業時代、経費節減のために様々な社内通達で、省資源、節電などが行われていました。モノを大切にする。そのこと自体に異論はありませんが、効果のほどはいかに?ということが多くあります。
節約するために費やす時間=社員の給与ですから、よく考えて計算しておかないと節約のためにより多くの時間=コストをかけていることも少なくありません。例えばある事例。
コピー用紙を大事に使おうとして、裏紙に印刷しよう運動が行われました。文字通り、既にコピー済の用紙のウラを使いましょうということです。確かに、社内で配布する一時的な書類などにはそれでもかまわないでしょう。心理的な効果はあると思います。紙の節約から派生して、電気など様々な節約に繋がり、そうした風土が根付く可能性もあります。
しかし大事なのは実際の効果。
コピーの場合、メーカーの担当者によれば、1枚あたりのトナーが3〜4円、紙が1円。裏紙使用なら0.5円が節約されます。当時は社員数2000人で、まだ社内プレゼン資料をプリントして持ち込むのが全盛だったので、企画部門が20Pの資料を10部ずつ(200枚)x10名が毎週2回何らかの資料を作成し、200Px10名x2回x4週=16,000枚。これらを再利用裏紙に廻すと、0.5円x16,000枚=8,000円/月の節約と仮定しましょう。
これに対して、いくつかのコスト増リスクを折り込みます。
- 紙の選別
表に印刷してある情報が機密情報の可能性があります。裏紙として使う為の選別には人件費がかかる筈です。勿論、外部への支払いではないので、帳簿上は見えてきませんが、本来他のことに費やすべき担当する社員やパートさんのコストを”紙の選別”に使うわけですから、おそらく、本来の人件費の使い方を阻害しているわけです。
- 紙づまり対応
裏紙を使用すると、紙づまりを起こしやすくなります。そのための対応人件費と、対応中に使えなくなる時間は、”コピーしようとしている他の社員の人件費”を待ち時間として発生させます。
- 故障時保守員コール費用
裏紙が原因で発生する故障は保守員の対応が必要となる場合もあります。一般的には、20,000円程度と算定されています。
つまりは、全社員一丸となって紙を節約しても、なにかの故障が起こった時点で、赤字になってしまうということ。
前職の例では、いつも紙の再利用や節電をウルサく促す関連会社天下りの顧問が、ビルセキュリティを解除しないままドアを開けてしまい、警備サービスマンが出動。出動コストが25,000円で、その月の節約したコストを、一瞬で吹き飛ばしたのでした。
裏紙利用は経済効果疑問。
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タクシー利用はもったいない、贅沢だと言われますし、そのように感じる事も事実です。検証しましょう。
半蔵門から八丁堀だと、地下鉄で移動すると、皇居のお堀をぐるっと廻らなければいけないので、半蔵門から九段下で乗り換え、東西線で茅場町へ行き、日比谷線に乗り換えて一駅です。時間は20分程度。165円。
タクシーだと時間は20分で、料金は1520円程度です。
タクシー料金を調べる http://www.taxisite.com/far/anytoanyret.aspx?night=0&hway=0
この20分の時間コストはいくらなのでしょう。
- 最近の新入社員
初任給22万くらいでしょうか。8時間勤務で1ヶ月だと160時間なので、1375円です。これだと換算すると20分では458円なのでタクシーでは割高です。
- 平均年収は440万
37万/月、2312円/時、20分は770円。まだ割高。
- 逆算すると
875万/年の人ならタクシーでコスト倒れしなくなります。
平均年収ランキング2015(平均年収/生涯賃金) |転職ならDODA(デューダ)
でも、ランキングで一番高級な金融関係でも、779万ですから、平均では誰もタクシーは乗らない傾向になるのでしょうね。
「タクシー利用はもったいない、贅沢だ」は、”実感”が”正解”なのか。。。
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では、タクシーは却下し、健康と地下鉄の交通費を節約するために、「ロードバイクでお客さんのところに行く」というのはどうでしょうか。
距離は4.5km、自転車の平均速度を15kmとすると、約20分。時間は同じくらいで、費用コストはゼロなので、この点からすると一番効果的です。乗り換えの時間もなく最短距離移動ができますね。ただし、マイナス面は、
- 交通事故の危険が伴う
- 体力を消耗する
- 持ち物に制限が出てくる
- 次の約束がある場合には使えない
- 雨が降るとダメ
- 寒い(冬)
- 暑い(夏)
でも、これが一番正解か。