【ODRピックアップ】20160714 クリーニング店で考えたプロの責任と顧客の期待・理解
1.染み抜きを頼むが
朝、ワイシャツをクリーニングに出すついでに、娘に頼まれた「ジャケットの汗染み抜き加工」をしてくださいと頼んだところ、
「通常料金だと落ちるか判らないがいいか?」と言われたので、
「落ちないなら意味がないでしょ?追加の有料でいいですよ」と依頼すると、
「時間がどれくらいかかるかわかりませんがいいですか」と追加質問。念のため、すぐに、長女に電話して時間がかかってもいいことを確認し、
「時間は大丈夫なのでお願いします。」すると、
「全部落ちるとは限らない。やってみないとわからない。」
でも、
「いいですよ。それで。」
と、1500円を支払いました。
店頭には、汗抜き加工のPRのためのイラストポスターが貼ってあります。
にも関わらず、一連のやりとりで、なんだか快く受けてもらえないようにも思います。もしかしてこの仕事受けたくないんじゃないか?と。
2.できないことをできないということ
夏は汗をかき、それがジャケットに染み付いてしまうのは、いやだけど、余程汗をかかない人でない限り、仕方のないこと。だからこそ、クリーニング店には、汗抜き加工を提供し、そのPRまでしているのでしょう。
だから、顧客の期待は、
汗抜きをしたい(できれば料金をかけず)=>でも、追加料金でもできるならしたい=>ポスターがPRしているから信頼できるサービスに違いない。。
だからこそ頼む訳ですが、一方、クリーニング店舗としても、
しかし、実際は全ての汗染みが抜けるわけではない=>事実そういう事例もありクレームにもなる=>工場は外部で確約できるわけではない=>時間がかかってかつシミが抜けないこともある=>クレームになる=>再度工場にやり直し依頼も手間になる。。。
クリーニング店もプロなので、できること、できないことは把握しているでしょうね。だからこそ、落ちないかもしれない汗染みのことを告知して、時間がかかることを告知してくれました。そして了承を得た上で、受け付ける。それが、プロの仕事。。。
でもね。。。
3.顧客はいつも高望みする
顧客としてはなんだか腑に落ちない。ニーズがあってポスターまであって、”ご利用下さい”と押し出しているのに、仕事受けたくないように感じられる応対。応対の問題?
結局、シミを落すという技術を持ったプロのクリーニング店でなければ落せないということのようです。しかし、そうした技術を持って実践すると結果的には価格に反映されてしまい、全般的な価格が高くなってしまのでしょう。件のクリーニング店では、自身の工場は小規模で持っていますが、染み抜きには力を入れていないことで、価格を維持しているということ。だからこそ、私もワイシャツをお願いしているわけですから。
顧客の期待としては、自分が行く店が全ての自分の要請に答えて欲しい。しかもリーズナブルな価格で。店としては、その地域で必要なサービスの質と価格を提供することで、経営を維持していくことが最終的にはプロとしてのサービスに繋がる。だから、心苦しいながらも、できないことはできない、期待に答えられない恐れがあることを、キチンと伝える。そういうプロの責任を果たしているのでしょう。
4.顧客も賢くなるべし
高度な染み抜きをできるクリーニング店も前述のサイトで紹介されています。私の近隣では一番近くて世田谷区。そこまで行けばニーズは満たせるが、時間と費用をどこまで使うか。それは我々、顧客に委ねられた判断です。
クリーニングに限らず、ワンストップで全部できるということは、それはコストに反映されているとみるべきです。安ければ、余程画期的な合理化手法を確立していない限りは、質やサービスに反映されているとみるべき。質を維持するため、サービスの範囲を絞っている筈です。(なんでもやると言って、安いけれど質が悪い、のは論外)
サービスの質や特別な種類を期待する、求めるならば、それを探す努力は必要です。今では、インターネットで検索することも簡単になりました。インターネットに情報提供している特殊な技術の店は、ネットでの依頼も受け付けている可能性も高いのです。
もちろん、中にはインターネットで宣伝をせずに、高度な技術を地元密着で提供している場合もあるでしょう。それはもう自力であるいは口コミで探すしかありません。顧客の努力。
どのビジネスでも、ついつい、できないことをできると言ってしまいがちです。顧客から見ると、できるから受けたのではないのかというのも一理。しかし、それは、場合によっては、自分のスキルを一歩前進させる場合もあります。自分を進化させるのは、プロの役割の一部でもあります。
朝のクリーニング店での体験は、通勤電車の中で斯様に自分に跳ね返ってきました。
第二四半期が始まりました。