【半蔵門ビジネストーク】20171030 プライドと資金
もう一本、「和僑」の感想から。
プライドはついてまわる、捨てたらおしまいとも思う
引退してプラチナタウンに移り住んできた人たちにも、派閥ができている。中小企業の社長たちによるもの、大企業の幹部だった人たち、そして、そうした過去に興味のない人たち、それらの人たちの周囲で奥さんたちの派閥。
引退しても、なお、過去に成し遂げたことに対するプライドが、一つの町で生活すると意味をなしてくる。その場所に移り住んできた人々、しがらみのない人々、先祖がそこにいるわけではない人々だからこそ、プライドが拠り所になる。
多くの男は、私も含めて、プライドが大事なのだろうと思う。
それはつまらん見栄だと言われるかもしれない。でも、プライドをなくしたら、誰かの支配下に入り、言われたことを実行するだけの去勢されたような男になる。
天下りで、あるいは早期退職で、ヘッドハンティングで小さなベンチャーにやってきた幹部社員は、最初は、
「新たな気持ちで頑張らせていただく」
という。そして、経験を活かし、元の企業の感覚で、不備を探し出し、指摘し、提案し、改善しようとする。しかし、大抵うまく行かない。受け入れた企業にいる社員にもプライドがある。
「そんな提案は何年も前にやってみたことなんです。
ポイントはそこじゃないんです。」
ポイントは、やらされるほうのプライドだ。
中小企業とはいえ、それなりに努力し勉強し苦労してやってきた社員たちにしてみれば、いくら大企業からきた人とはいえ、そう簡単に解決策を見つけられるものではない、自分たちもやってきたんだという自負がある。
逆にいえば、そのプライドをなくしてしまっているならば、外部からきた人の表面的な提案になんの抵抗もなく従っていくことになり、それはそれでまた、継続可能な対策ではないのだ。
資金を誰に頼るか
主人公の町長・山崎が、次の一手をうつために事業を行う決断をする。資金を求めるために、若い事業家にも話を持ちかけるが、事業家は顔を曇らせる。
アメリカに渡った事業家・時田がいう。
「金を借りる相手は、行き易いところにいく。親兄弟、友達は縁が切れない。だから借りにくい。だから、万が一の時に縁が切れてもいいやつのところにいくもんだ。」
だから銀行や金貸ところに金を借りに行く。もちろん、返すつもりはある。しかし、根底の心に、本人も意識しないところにそういう潜在意識はある。
金を借りるときには、注意がいる。貸すときと同様に。
* * *
最後の章で、進出成功して、アメリカのレストランで米国の家族が肉を絶賛する光景は、涙を誘う。感動を誘う。そういうことに関わりたいと思うからだ。それもまたプライドだ。いつまでたっても一旗あげたいと思う。
いや。
誰かの、何かの役になっていたいというプライドだ。必要とされたいプライドだ。
誰かと、なにかとの関係においてしか、自分は位置付けられないのかもしれない。