半蔵門御散歩雑談/ODR Pickups

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、台湾たまにロードレーサーの話題など、半蔵門やたまプラーザ付近を歩きながら雑談するように。

コンサルタントの雇い方

コンサルタントの雇い方【半蔵門ビジネス雑談】20200220

 

 

A社の失敗

ある日、A社の経営トップが言い出す。

「コンサルタントを雇おう。」あるいは

「雇うことにした。いろいろ教えてもらっていい案を出してみろ。」

「画期的な事業プランを出してみろ。」

と。

 

「まただよ。始まったよ。」

 

という声が聞こえてきそうだ。この会社では以前も企業CIブームの時にコンサルタントを入れて、戦略を模索したのだが、当時の依頼先コンサルタントCは、大勢のスタッフを引き連れてやってきて部屋を占有し、2〜3ヶ月かけて分厚い戦略企画書を残していった。

しかし、そのコンサルタントの提案の実施は、うまくいかなかった。なぜなら、内容は、誰でも思いつく基本的な内容や、組織の改正、制度の起案と改定などであり、どれも以前社内でも起案したりやったりしたものばかり。いくつかは当時の社内決裁が下りなかった企画と類似なものだったが、コンサルタントの企画だからと、実施することになったが、懐疑的な意見も多く協力も得られず結果的に立ち消えてしまった。

 

B社の場合

B社が依頼したコンサルタントDは同じく大勢のスタッフを引き連れてやってきて部屋を占有し、2〜3ヶ月かけて分厚い戦略企画書を残していった。

このコンサルタントの残した企画書に沿って具体的計画をたて、B社は社内改革に成功した。内容は、誰でも思いつく基本的な内容や、組織の改正、制度の起案と改定などであったが、その作成過程に違いがあった。

コンサルタントDのチームは、まず社内ヒアリングを行った。問題点は何か、これまで実施した施策はなにか、なにがうまく行って、何がうまく行かなかったのか、こうした過去の施策や失敗に加えて、社員が今考えていることはなにか、どういうことをやったらいいのか、その場合の障害になりそうなものはなにか、等々を聞いて回ったのだ。

そして、障害になりそうな部分に重点的に解決策や回避策、話し合いを設けて実行計画までを策定したのだ。

戦略企画書の内容は、社員が思っていること、やりたいこと、変えたいことにあふれていた。誰もが、自分の意見が反映されたと思った。誰もが、これは自分の策定した戦略企画だと思って実施したのだ。

 

コンサルタントが正解を?

コンサルタントには、様々なやり方がある。どのやり方のコンサルタントを雇うかは発注側の考え方次第だが、自分たちのやりたいこと、やりたい方向性を実現してくれるように使わなければならない。コンサルタントが正解を教えてくれると思った時点でおそらく失敗なのだ。

中には、冒頭の、型通りで、当該会社にマッチしない、分厚い、企画書だけを残していくコンサルタントもいる。素晴らしいノウハウは詰まっているのだろうが、実施しなければただの紙だ。

あるいは、依頼者のやりたい企画を、コンサルタント名義で作成し、それを実行するための根回しをして、企画会議をシャンシャンで決裁することで、あとは知らないというスタイルもあるだろう。

 

有能なコンサルタントは、成果を自分の手柄として残さない。

何らかの雛形は提示するかもしれないが、それはあくまで見本だ。戦略の策定そのものは、ヒアリングして社内リサーチし、社内の社員に行ってもらうようにするはずだ。定石となる分析手法は提供するだろうが、社内の精鋭が自らの頭を捻って何をするか決めていけるように教育や指導をすることに主眼を置き、最終的には、社員が出した提案が、企画書の一部として組み込まれていくように指導する。それによって、自分の意思で、自分の企画で自分がこの組織を変えていくのだという意識になっていく。成果は、社員の手柄として記憶される。

 

製品Wは俺がやった

かつてある会社の話を聞いたことがある。S社では、「製品Wは俺がやった」という人が多いらしい。それは、多くの社員が主体的にその製品Wを進めていたという証である。だからこそ世の中を変える大ヒットとなったのだ。如何に社員一人一人が自分の企画と思い込めるか。

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ちなみに、私が某大学のIT化コンサルティングを行った際、学長にプレゼンをした。当社を採用すると決めた学長との会議で学長が聞いた。

「あなたの今回の仕事は何を持って成功というのですか?」

私は答えた。

「今はコンサルタントが必要ですが、4年後には学内の誰かが私の役目をできるようにして、私に依頼する必要がなくなることです。」

学長は、

「わかりました。あなたにお願いしましょう」

と握手をした。