本人確認と相手方特定 ー ODRの場合【半蔵門ビジネス雑談】20200221
ODRが日本でも進んできているのは何度も述べた。技術的にはすでに今ある技術でどうにかなりそうだし、海外では実施されてもいるので日本でも実施できるのは疑いはないだろう。説明会などを行うと必ず出てくる質問がある。それは、
1.本人確認 と
2.相手方とのコンタクト(オンラインでの連絡など)
をどうするのかということだ。この場合、
1.は、ネットの向こう側にいる相手が本当にその本人かどうかを確定、特定すること。
2.は、相手方の連絡先、具体的にはメールアドレスなどだ。
確かに、実際にODRシステムがまだ出てきていないので、これらを説明したり、実際に体験したりすることは少ないだろう。いくつかの手法、可能性を考察してみる。
1.本人確認
当事者としてネットワークを介した向こう側にいる相手が本人であることを確定させることだが、本人が物理的に目の前にいないのでどのように確定するかということが課題だ。ただし、最近の事例でパスポートを精巧に偽造した土地売買の事件があったが、そうしたケースはネット経由でなくても発生するのでそれがふせげるかどうかはネットの問題ではない。
(1)代理人が確認する
一番単純なのは、代理人が同席している場合だ。弁護士など資格をもった人物がそばにいて認証してくれればよい。これはネット経由ではあるが、実際の本人確認と同じだ。ただし、毎回代理人がいることが前提となる。(2)(3)と合わせてより確実継続的な確認方法となる。
(2)証明書を電子的に送付保管する
電子メールまたは専用の紛争解決システムに組み込まれた本人確認プロセスで本人確認できる書類やIDなどを送付、保管する。
すでにクレジットカードの登録やメンバー登録などの本人確認でも行われているように、免許証など顔写真入りのIDカードをスキャンしたデータを送ることにより本人認証が行われている。同様な方法が行えるだろう。送付方法は、電子メールに添付、あるいは、紛争解決システムに組み込まれた本人確認処理で行う。
(3)電子証明書
e-Taxなどで用いられている公的機関が発行する電子証明をを提出し、また送信データには電子署名をつける方法。
2.相手方コンタクト
ODRで紛争解決手続きをすることは、相手が特定できた上で、その連絡先が必要となる。
(1)電子メール
一般的には、紛争解決システムに依頼してくる紛争当事者同士はすでに面識があるだろうし、電子メールアドレスはわかっているケースは少なくない。
(2)電話
前項と同様の理由で電話番号がわかっている場合がある。そこから調停人または紛争解決システムの管理者が連絡をして、システムへの登録による応諾や電子メールを入手してシステムによる連絡の手順が利用できるようにする。これはODRに限らない。
(3)不明
交通事故などで相手方が不明な場合、ナンバーや場所、その他の証拠、特徴などで調査することになる。この場合は専門的なサービスなどを利用して入手し、その後、(1)(2)の手段で連絡をとることになる。これはODRに限らない。
いずれも、実際のシステムとして確立はしていないが、現実的には乗り越えられる課題であろう。また今後実際に登場するシステムの方法を調査し、最新の手法や技術を継続フォローしていく。